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コーポラティブ方式で土地を高く売却する

状況

 東京郊外在住のFさんは、所有する土地の一つに問題を抱えていた。すでに資産の組み換えを進め、都心のビルを購入していたため、いくつかの土地を処分したが、残る土地は交通の便が悪く、期待した価格では分譲会社への売却が難しかった。
 ビル購入の負担をできるだけ軽くするためには、予定した価格に近い価格で売却をしなければならない。

対策

 「コーポラティブ方式」を使って、通常より高い価格で売却することにしました。この方式では、土地の分譲を受ける側が組合組織(建設組合)をつくり、土地所有者は組合に対して土地を売却するので、「土地の共同購入」という考え方になります。

 というのは、広い土地を宅地分譲するときは、土地を分割しなければ売れませんが、宅建業法で個人(地主)が複数の人を相手に土地を売ることができません。そこで、ふつうは分譲会社に一括して土地を売却し、分譲会社が整地した土地を分譲販売します。

 このような場合、分譲会社が地主から買い取る価格は、予定される最終的な総販売価格から経費や利益などを差し引いた残高という考え方から算出されます。経費には開発設計費、造成工事費、広告宣伝費、販売手数料、金利、印紙税、所有権移転登記費用、固定資産税・都市計画税、不動産取得税、仲介手数料などがあります。これらの経費に、分譲会社の利益が上乗せされます。このため、実際に地主が売却する価格が低く抑え込まれてしまいます。

 これに対してコーポラティブ方式は、コーディネーターが土地を区分し、それぞれの区分の購入希望者を集めます。この購入希望者たちは建設組合をつくり、この組合が地主から土地を一括購入します。一対一の売買なので、宅建業法上の問題は起こりません。地主と組合の間で売買契約が結ばれれば、次に、組合が個々の購入希望者に買い取り価格で譲渡するかたちをとり、譲渡後、組合は解散します。さらにコーディネーターが造成工事を手配して、家を建てられる状態にします。

 いわば、土地売買の中間マージンをなくす「直売方式」です。開発設計費と造成工事費は同額かかりますが、土地売買に関わる直接経費は仲介手数料とコーディネーター料だけです。このため、売る側の地主は売却価格を高くすることができ、買いたい人は安く購入できるため、お互いにメリットがあります。購入希望者が集まらないときのリスク回避として、一定の期間内に必要な希望者数が集まらないときは、コーディネーターが決まらない土地区分を買い取る、という契約もできます。

 具体的な手順としては、

  1. 対象にする土地の選定・基本プロジェクト作成
  2. 土地所有者とコーディネーターが基本合意書を取り交わす
  3. 建設組合員(購入希望者)の募集
  4. 建設組合を結成
  5. 地主と建設組合の間で土地売買契約を結ぶ
  6. 土地造成・建物工事
  7. 完成・引き渡し・入居

 となります。

効果

 コーポラティブ方式には、次のようなメリットがあります。

  1. 地主にとって、より高い価格での土地売却が可能
  2. 居住者の合意形成によって開発が進むので、地主と居住者がよい関係を保てる

 このケースでは、分譲会社から提示された坪当たり売却価格は6社平均71万円、総額2億1,000万円でした。コーポラティブ方式を使ったことで坪単価は80万円になり、売却総額は2億4,000万円と、通常の売却より3,000万円増えたことで、ビル購入に予定した価格に近づけることができました。

 ポイントは、確実に手順を運んでくれるコーディネーターを選ぶことです。いい加減なコーディネーターはトラブルの原因になります。