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損益通算(内部)の活用で売却益を圧縮

状況

 所有不動産に貸宅地が多く、収益性が悪く、相続対策も立てにくい。また、バブル時に投資した不動産物件の損失が顕在化しはじめたので、収入アップを伴う資産整理もしたい。

 

対策

対策の目的は、

  1. 収益性が低い資産を高収益資産に組み換える
  2. 土地の単価評価が高い物件に組み換えることで相続税を節税する
  3. 税法(内部通算)を活用して譲渡所得税を軽減させる

にあります。

 そのための対策は、1.貸宅地の底地権を売却し、売却で得た資金で優良ビルの一部持ち分を取得する、2.バブル時に購入したセカンドハウスは同族会社に売却して保養施設にする、3.不良資産化したオフィスビルは売却する、という方法で、売却は同じ年度内に終了させます。
 これは、底地権売却益が長期譲渡所得になるので20%が課税されてしまうため、売却損が出る資産売却とあわせる(内部通算)ことで、底地権の売却益を圧縮する効果を狙っています。

効果

 底地は合計1億円で売れ、9,000万円の譲渡益が発生しました。一方、セカンドハウスと既存ビルは合計1億円で損切りし、9,000万円の譲渡損が出ました。

 この結果、売却総額は2億円になりました。しかし、内部通算を活用することで譲渡益と譲渡損は相殺され、このケースでは譲渡所得はゼロと計算され、売却総額はそのまま手持ち資金になります。

 次に手持ち資金2億円で好立地の収益不動産を購入します。年7%の表面利回りが期待され、年間収入は確実に増えます。さらに購入した収益不動産は、相続評価をするときに小規模宅地の評価減の対象になるので、相続税の節税効果もあります。


 これによって不良資産の整理と高利回り資産への組み換えができました。セカンドハウスを同族会社に売却したのは、セカンドハウスはなかなか売れないので、同じ年度内に売却するための1つの方法です。内部通算は、事業用資産の買い換え特例の利用ではないので、高利回り物件が見つからないときは、現金のまま市況の推移を見ていることです。

※土地・建物の譲渡損失は、長期譲渡損失から短期譲渡所得を差し引いた額、または短期譲渡損失から長期譲渡所得を差し引いた額が切り捨てられる損失とされます。含み益のある土地・建物と含み損のある土地・建物の売却を組み合わせれば、課税される譲渡益や切り捨てられる譲渡損失を少なくすることができます。

 但し、通算できるのは、同じ年に売却した土地・建物譲渡益と譲渡損についてです(これを内部通算といいます)。異なる年に譲渡した譲渡益と譲渡損の通算はできません。

※平成15年までは、土地・建物の譲渡損失は、土地・建物の譲渡所得以外の所得(以下「他の所得」)との通算が認められていました。平成16年度税制改正により、土地・建物の譲渡損失は、他の所得との通算ができなくなり、現在は、株式と同様、同一所得内での通算と分離譲渡同士、総合譲渡同士の間でのみ通算が可能となっています。