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「事業用資産の買い換え特例」を利用しよう

買い替え特例の検討

 この章からは、より有効な不動産活用方法がなかなか見つからない事業用不動産の場合、打つべき手段について紹介していきます。

 活用がむずかしい土地で無理して事業を続けても、先が見えているし、失敗する可能性が大きいのが現実でしょう。そのときは、駅に近い、道路が広い、地形がいいといった条件を満たし、有効活用ができる土地と買い換える方法を検討することです。

 不動産を買い換えると、不動産売却で得た利益に対して譲渡税がかかり、手元資金が少なくなります。
このため、収益性が高い不動産が手に入りにくくなっていました。

しかし、いまが事業用不動産を買い換える最後のチャンスです。

というのは「事業用資産の買い換え特例」があるからです。この税制上の特例は、収益性が低い土地を収益性が高い土地に組み替えるために有効な手段として使えます。
ただし、景気対策、土地の流動化を図る目的で設けられた特例制度で、平成29年3月31日までの時限立法になっています。
不動産の買い換えは計画から実行までに時間がかかりますから、できるだけ買い換えの行動は早くとることをお勧めします。

何と譲渡所得の80%が繰り延べに

 事業用資産の買い換え特例は、買い換えによって発生する譲渡所得の80%が繰り延べ(その時点では課税を免除、次に売却したときに繰り延べされた譲渡益が課税対象になる)されるもので、買い換えに生じる譲渡益に対する実質税率4.0%になります。

 特例が適用されないときは100の譲渡所得に対して、(保有期間5年超として)20%の譲渡税が課税され、20の税額を納めなければなりません。

が、この特例が適用されると、譲渡所得の80%が一部地域を除いて繰り延べされるため、残る20の譲渡所得に対して20%課税されるので、実質的な税率は4.0%になるのです。

手元に残る現金で考えれば、特例が適用されなければ80ですが、特例によって96近くが残ります。この差によって、新しく購入できる物件の条件が大きく違ってきます。

 この法律が適用される譲渡地は、10年を超えて事業を営んでいる不動産に限られます。
遊ばせている土地は対象になりません。
事業用という意味は、その土地で工場や物品の販売、事務所を構えているほか、農地でもいいし、駐車場、資材置き場などの貸地、アパートやマンションなど貸家建付地なども対象になります。
買い換える不動産は、事業用でなくとも投資用不動産でもかまいません。

 ポイントになるのは、売却、購入とも地域を問わないことです。
郊外の事業用不動産を売却して都心の不動産を買い換えても、同じ郊外の不動産に買い換えても適用されます。
買い換えた不動産が小規模宅地による評価減の適用が有効に受けられれば、相続税対策にもなります。

 

 

買い換え特例のメリットを比較してみる

 ここに200坪の農地があります。
市外化地域内にあるため坪単価は100万円で、土地の時価は2億円です。
この土地のいろいろな活用法と、時価に対する収入から(表面)利回りを計算してみます。

 まず、駐車場です。車1台に必要なスペースは6坪とされますから、200坪の広さでは、33台が駐車できます。

月の駐車料金を1万円とすれと年間収入は396万円(33万円×12ヵ月)になり、時価2億円に対する表面利回りは約2.0%です。

 次に、建物(マンション)を建てて貸すことを考えます。
容積率が100%で、坪当たりの建築コストを70万円とすると建築費は1億4,000万円で、土地と合わせた時価は3億4,000万円です。
13坪の部屋が13戸できたとして、年間家賃収入は1,630万円(坪当たり賃料=月7,000円)になり、利回りは、約4.8%です。

 そして、買い換え特例を使った資産の組み替えです。
更地を2億円で売却して、都心のビルを3億円で購入することにします。
売却費用や譲渡益課税を支払うと、手元資金が1億8,600万円残り、不足する1億1,600万円を金融機関から借り入れます。

ビルの家賃収入は年間1,800万円で、時価3億円に対する利回りは6.0%になります。
金融機関への返済や管理費など諸経費を差し引くと1,500万円が収入になります。
このケースでは、買い換え特例を利用した資産の組み替えが一番利回りが高いという結論になります。

ただし、マンションの場合も、入室率や賃料を低めに考えて計算してみることも必要です。

平成29年3月31日まで延長された「事業用資産の買換え」

 収益性の低い土地は「事業用資産の買換特例」を使うことで、収益性が高い資産への組み替えが容易になります。
 「事業用資産の買換特例」は、譲渡資産の譲渡益のうち、買換資産に対応する部分の80%について課税が繰り延べされる制度で、平成26年12月末までの時限立法が平成29年3月31日まで延長されました。

 まず、「事業用資産」の意味ですが、これは10年を超えて所有し、かつ事業を営んでいる不動産に限られます。
事業というのは農業でも工場でも、駐車場、賃貸マンションでも、その土地を使って売上げがあればいいのです。

また、「買い換え」は、売却代金で別の事業用不動産を購入することが条件になります。

 課税が繰り延べされるということは、売却時点では譲渡益のうち買換資産に対応する部分の80%について課税が繰り延べされますし、残りの20%に対して譲渡所得税率 20 % ( 地方税を含む ) で課税されますので、譲渡所得に対する実質税率は4.0 %ですみます。(ただし、買換取得した物件を将来、売却したときは課税が繰り延べられた80%分が加わって課税される)このため、特例を使わない場合に比べて、手元に残る現金が多くなるので、価格が高い物件でも購入しやすくなります。

 この特例が土地オーナーにとって使いやすいのは、売却する事業用不動産も購入する不動産も、場所を問わないからです。(一部地域を除く) 
 郊外の広い農地を売却して、都心の賃貸ビルを購入すれば、高収益物件に組み替えできるだけでなく、ケースによっては小規模宅地による評価減の適用が受けられ、相続税対策にもなります。