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定期借地権を使った物納事例

相続の手順

Nさんは、東京都心の課税評価額2億円の土地にアパートを所有していましたが、ほかに物納地、納税地はないという状況で、相続が発生しました。相続人は配偶者、長男、次男、長女の4人です。

まず、この場所に同族法人を設立しました。出資者である社員は長男一人だけです。仮に、この法人をA社とします。同時に、分割協議書をつくって建物を4人の共有名義にしました。そして、共有名義である相続人4人とA社との間で建物の売買契約を締結し、A社は相続人4人に建物価格分を支払って、建物は法人名義にしました。

土地も4人の共有名義にしました。次に、建物を所有するA社と土地を所有する個人の間で、60年間の一般定期借地権契約を結びました。この契約によって、A社は定期借地人になりました。

相続は、この底地だけを2億円の80%評価、すなわち1億6,000万円で物納しました。底地物納は借家人の同意は必要不可欠なことですが、A社は同族法人ですし、定期借地権を持っているので、底地の物納に同意することにはなんの問題もありませんでした。

なお、場所や定期借地権の残存期間にもよりますが、契約相手が同族法人だと相続税は80%に評価されますが、そうでない場合は60%評価になります。

物納から5年間、A社は地主、すなわち国に、家賃の中から地代を支払っていました。

約8,000万円の相続税負担軽減

そして物納から5年後、A社はこの底地を払い下げることにしました。この間、土地の評価は路線価が下がった影響で、5年前の2億円から1億4,000万円に下落していました。それでは、買い取り価格は1億4,000万円かといえば、そうではありません。今度は国が地主で、借地人は法人ですから、契約相手は同族ではありません。つまり、1億4,000万円の約60%、約8,400万円で買い取ることができたわけです。

1億6,000万円で物納したもの、換言すると1億6,000万円で売ったものを、8,400万円で買い戻すことができたのです。結果的に、5年間で7,600万円の利益をあげたようなものです。

定期借地権の底地の物納のおかげで、7,600万円も相続税負担を軽減することができました。そして、この底地は同族法人の所有ですから、相続の対象にはならないのです。