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2017.07.01
事業承継
納得いく事業承継は「幅広い選択肢」から

経営を強化する事業承継のカタチ

経営者の高齢化に伴い、事業承継は年々増加。
事業承継の成功の鍵は、幅広い選択肢を知り、経営状況やご自身の思いに沿う承継プランを最善のタイミングで選択することなのです。

事業承継の今
多様化する事業承継。「相談できる人が少ない」現状

「相談できる人が少ない」、実は経営者の方からよく伺う言葉です。特に事業承継というテーマは、多くの経営者がお一人で抱えられています。そのうえ経済環境の変化に伴い、35年前には約9割を占めていた親族承継が現在は1/3に減少し、従業員やM&Aなど第三者への事業承継が2/3まで拡大しているのです。
事業承継の多様化に加え、それに伴う税制対策や金融商品などの情報が溢れ「何がベストなのか」と頭を抱える方もいらっしゃいます。慣例や思い込みで「これしかない」と考え、残念な事業承継や廃業を選ばれる場合もあります。
悔いのない事業承継のためには、「最優先したいことをは何か」をいち早く明確にすることが重要です。「社員が安心して働き続けられること」、「ご家族の生活が安定すること」などビジョンがあってこそ、ブレのない選択が可能になるからです。

ご相談事例
有力な選択肢「社員承継」は準備資金の課題など後継者に負担大

ある設備工事会社の社長A様は、お父様が設立された会社を引き継いで間もなく、10年後の事業承継を見据えて弊社のセミナーに参加されました。A様は長年共に会社を支えてくれたベテラン社員が次期社長になるべきだと考え、当時学生だったお子様の承継や、M&A、廃業は選択肢にはありませんでした。
会社は創業50年、売上は10億円で、経営は大変良好。しかしその分、株の承継には多額の資金が必要で、後継者となる社員が買い取れる額ではありません。会社を「経営=事業資産」と「財産=非事業資産」の2社に分け、後継者の資金負担を軽くする提案もありましたが、準備資金ごとご家族の意向で決断するには至りませんでした。

事業承継の検討の切り口の図

ご提案
経営課題を解決する理想的な事業承継のカタチとは

事業承継においては経営課題を解決して引き渡すことが鉄則。当時A様の会社は経営は安定していましたが、実は取引が一社に集中していたため、取引先からの要望に100%応えなければならない状況。また、他の取引先を拡大するにも人員不足のため、営業体制を整えることもできず綱渡りな経営が続いておりました。
A様も「社員が安心して長く働ける環境を守ること」が最優先事項でしたので、選択肢から外していたM&Aをご提案させていただきました。

大手グループ傘下なら人員の補強が容易になり、営業体制も敷ける。取引先を紹介してもらえば事業拡大も図れる。そのネームバリューで優秀な人材を確保し、技術をつないでいけるなど、内容を検討されたA様は「先延ばしする理由はない」と、即刻、M&Aへの舵取りを始められました。
新体制下では、グループからの人員の支援により、ピーク時も安定して対応できる体制が確立。人材採用も順調で平均年齢が30代となり、若返り実現。現在、A様は買手企業グループの経営企画室でご活躍されています。

結論
斬新で柔軟な承継プランで意思決定をフルサポート

当初、事業承継の手法としてのM&AはA様の心には響きませんでしたが、経営課題を解決する手法としては大いに納得され、好条件での取り組みとなりました。実際、多くの方が「M&Aは会社を手放すこと」と考え、敬遠されますが、事業を再編し強くする手段として、 M&Aを選択される企業様も増加しています。

今回は、A様の社員の安定に着目した結論になりましたが、事業承継コンサルティングでは、経営者様の状況に合わせ、「会社と社員」、「家族」、「個人」の3つの視点を中心に、起こり得るケースを一つひとつ掘り下げます。誰に承継するかだけではなく、会社の成長戦略や経営課題など検討事項を洗い出し、解決の道筋を立てていき、経営者ご自身に、納得いただける事業承継のカタチをつかんでいただくのが私どもの使命です。
早い時期から検討を始めれば選択肢の幅も広がり、有利なタイミングを逃さずに実行することができます。まずは、お一人で悩まれずにお話することから、全力でサポートさせていただきます。

多和田 大紀
事業承継コンサルティング事業本部 第二事業部長

Profile:税理士/上場企業から中小企業オーナーに対し、事業承継専門に100件以上の コンサルティングを展開。親族承継だけでなく、社員承継、M&Aなど幅広く選択肢を提案し、スキーム論だけでなく、人情味あふれるコンサルティングにより、多くの経営者をファンとして抱える。

※役職名、内容等は取材時のものです。

納得いく事業承継は「幅広い選択肢」から