2020.07.01
財産運用市況・トレンド
不動産価格は下落局面も、都心は底堅い。「買い時」を逃がさないよう情報収集を

リーマンショック後より市場の動きが遅い
「物件価格が下がったら購入したい」

新型コロナウイルス感染拡大への危機感が強まった3月頃より、私たち不動産事業本部にはそんなご相談が多く寄せられています。 では、直近で物件価格が目立って下落しているかどうかといえば、今のところ大きな動きは見られません。コロナショックに際し、いち早く不動産投資に意欲を見せているお客様の多くは、リーマンショック(以下、リーマン)時の不動産市場の変化を経験した方々。当時は発生直後から急激に下落しており、その記憶から底値到来(再来)を期待して情報収集に熱心なのです。
しかし、リーマン時は金融機関からの圧力によって保有物件を安価でも叩き売らざるを得なかったのに対し、今回はそうした状況には至っていません。ですから価格もまだ大きく落ち込んではいないのです。
中長期的視点では、東京都心部の不動産価格への影響は小さいと考えられますが、全般的にはゆるやかに下落が進むと予想されます。9月決算、来年の3月決算ではコロナの影響による業績悪化が浮き彫りとなり、資産の売却が進む可能性があります。また、店舗中心のテナントビルでは賃料の減額、オフィスビルではリモートワークへの移行に伴うオフィス縮小・解約を背景に収益物件としての価値が低下し、価格が下落する物件も出てくるかもしれません。

過去のデータを踏まえタイミングを見極める

では、不動産投資を考える皆さんが今すべきこととは何なのでしょうか。 まず、リーマン後の不動産市場の推移を知っておくことが重要です。右のグラフで示しているとおり、都心5区の公示価格はいずれも10年未満でリーマン前と同水準に戻っており、コロナ前にはリーマン時より上昇しています。
今回も類似の曲線を辿るとすると、どの時点で都心収益物件を購入しても10年以上保有を継続すれば売却損は生じません。長期的に、都心の一等地は安全性が高いといえるでしょう。なお、一等地物件の場合、コロナ前の最低利回りより1.0%前後高い利回りで購入できれば、「底値圏」と判断できます。
注意すべきは「購入のタイミング」です。「まだ下がる」と様子を見ているうちに、最適な買い時を逃してしまうのはありがちなこと。また、「下がった理由」も要注目です。運用の際にマイナスとなる要素が潜んでいるかもしれませんので、「物件力」を見極める必要があります。
私たちは常に不動産市場の動向を観察し、その時々の物件価値と収益性を判断した上でお客様にアドバイスを行っています。私たちが持つ専門知見と最新情報を、ぜひ継続的にご活用いただきたいと思います。

松浦 健
不動産事業本部長

大手商社系にて不動産開発全般の経験を経て当社入社。優れた技術・人脈・情報を有し、収益性の高い国内外の不動産商品提供や、地域活性化へ導く地方創生事業開発に従事。

※役職名、内容等は取材時のものです。