2021.11.11
財産承継財産運用
不動産特定共同事業法について
法改正の注目ポイントから相続対策も解説

現在、不動産小口化商品をはじめとした不動産特定事業は少しずつ活用の場が広がっています。
その理由のひとつとして、「不動産特定事業法」の施行と、その改正が挙げられます。 

「不動産特定共同事業が健全に運営され、投資家がより安全に投資を行える」ことを目指して施行された不動産特定共同事業法(不特法)。

この記事では、不特法の概要や、2013年、2017年、2019年の3度にわたる法改正のポイントを解説します。

不動産特定共同事業法(不特法)とは?

「不動産特定共同事業法」とは、その名の通り、「不動産特定共同事業」(出資を募って不動産を売買・賃貸し、その収益を分配する事業を行う事業)を健全に運用するため、1995年に施行された法律です。

「不特法」と略されることもあるこの法律は、いわゆる現物不動産を複数の投資家が出資を行い、共同事業として取引、運用し収益を分配する「不動産特定事業」を規制するもので、不動産特定共同事業を行う事業者は、不特法に基づき、その許可を得ている必要があります。

通常、投資のための不動産を購入するには多額の資金が必要で、誰でも容易に手が出せるというわけではありません。

そうした中で投資家の裾野を広げるために、ひとつの不動産を小口に分割し、複数人が共同で投資するタイプの商品である「不動産小口化商品」が1980年代に登場しました。
不動産投資額を小口にすることで、気軽に投資できるようにしたのです。

ただ、資本力を含めた経営基盤が脆弱な事業者が運営をすると倒産のおそれもあり、投資家の大きな損失につながってしまうことも考えられます。実際に1990年代のバブル崩壊を受けて投資家が損害を被ることが多く発生し、こうした投資形態には何らかの規制を加える必要性が高まりました。

その結果として施行されたのが不動産特定共同事業法です。不動産特定共同事業の健全な発展と、投資家を守ることを趣旨としており、2013年、2017年、2019年に一部法改正がなされています。

 
■不動産特定共同事業者協議会について

2020年3月に、不動産特定共同事業の普及や健全化を目的として発足した協議会。多数の不動産特定共同事業者が会員として参画し、当社の代表取締役社長である蓮見正純が会長を務める。
蓮見は”協議会関係者の主体的な取り組みを喚起するとともに、官民一体となった相乗的な活動を視野に入れ、第一歩を踏み出すための起点とする。創造性、柔軟性、透明性の3つを念頭に、不動産特定共同事業発展のファーストステップとしたい”と語っており、同協会では、不動産特定共同事業の発展を通して、投資機会の拡大、ひいては地域活性化などにつなげていくことを目指している。

※不動産特定共同事業者協議会は、2021年4月20日に一般社団法人化致しました。

不動産特定共同事業法による効果

1995年に施行された不動産特定共同事業法により、不動産特定共同事業を運営するためには原則として、金融庁長官・国土交通大臣、または都道府県知事の許可が必要になりました。

■不動産特定共同事業法の主な許可要件

①資本金
 第1号事業者:1億円
 第2号事業者:1,000万円
 第3号事業者:5,000万円
 第4号事業者:1,000万円
②宅建業の免許
③良好な財産的基礎、構成かつ適確に事業を遂行できる人的構成
④基準を満たす契約約款(一般投資家を対象とする場合のみ)
⑤事務所ごとの業務管理者配置※
 業務管理者の要件:不特事業3年以上、実務講習、登録証明事業(ARESマスター、ビル経営管理士、不動産コンサルティングマスター)
※事務所に常勤(通常の勤務時間に勤務)している必要があるが、例えば、テレワークでの勤務や短期間の外出・出張、自社内の他事業の一部兼任等は可能である。

引用:国土交通省|不動産特定共同事業(FTK)法の概要


この法規制により、不動産特定共同事業に参入するためのハードルは非常に高くなっています。
許可を得るには、資本金や資格、投資契約の約款などを厳しく審査された上で、健全な経営ができると認められる必要があるのです。

「投資家が安心して不動産特定共同事業への投資を行える」、という意味において、不動産共同特定事業法は大きな役割を持っています。

不特法改正のポイント

 
初期の不特法は、投資家のリスクを抑制するため、特に厳しい規制が設けられていました。これは、投資の安全を確保できる反面、運営できる事業者が極端に少なく、投資取引が硬直化して魅力を失うリスクを伴っていました。

そこで、不特法の投資家保護の考え方は保ったまま、不特事業が普及するよう、のちに規制緩和を含めた法改正が行われました。

2013年と2017年、2019年、それぞれの法改正のポイントについて、それぞれ見ていきましょう。

2013年  特別目的会社(SPC)を活用した「特例事業」制度導入

2013年の法改正の目玉は、「特別目的会社(SPC)」を活用した「特例事業」を導入することでした。

SPCとは、資金調達や債券発行、投資家への利益の配分などを目的として設立される会社のことを指します。

法改正の結果、専ら不特事業のみを行うSPCを設立し、他の事業の影響を受けないようにした場合には、許可がなくとも一定の届出のみで不特事業への参入ができるようになりました。

SPCが不動産特定共同事業の許可を持つ会社(宅建免許を持つ会社)に業務を委託し、銀行などの機関投資家を事業参加者として組み入れることなどを条件に特例を認めたのです。

上記のような形態を「倒産隔離型」と呼び、倒産隔離型の不特事業を「特例事業」と呼びます。

しかし、2013年の法改正では、機関投資家と深く関わる大手の不動産業者は事業参入できるものの、中小規模の不動産事業者には変わらず高い障壁が残りました。

2017年  小規模不動産特定共同事業を創設

2013年の法改正は、限定的ながら届出制の導入と言う画期的なものでしたが、成果は芳しくありませんでした。当初の目論み程、投資は活性化しなかったのです。

そこで、2017年にはより積極的かつ、多角的な法改正が行われています。
特にポイントとなるのが、以下の3つです。
  • 中小企業の特例事業への参入を可能とした
  • 電子化やクラウドファンディングへの対応
  • プロ投資家に対しての約款規制を撤廃

これにより、中小規模の事業者が不動産特定共同事業に参入できるようになり、クラウドファンディングなどの電子取引ができる環境が整いました。また、特例投資家だけが出資する場合、約款規制が廃除されたのも特徴です。

2019年  不動産クラウドファンディングの活性化を促す

2019年の不特法改正では、2017年に実施されたクラウドファンディングへの対応を、更に強化しています。投資家のオンライン上でのリスクを低減しつつ、より使いやすいものにするのが目的です。
具体的には、電子取引業務ガイドラインを用意し、事業者が守るべき複数のルールを定めました。ホームページの表示の適正化や、審査部門の設置、情報漏洩への対応などが盛り込まれています。
更にクラウドファンディングを実施する事業者については、参入が容易になりました。これにより、今後は更に不特事業の活性化が見込まれます。

不動産特定共同事業の類型

「不動産特定共同事業法」によって、不動産の小口投資事業は、以下の3タイプに分けられています。

  • 任意組合(現物出資)型
  • 任意組合(金銭出資)型
  • 匿名組合型

それぞれ、事業主体が異なっていたり、業務執行や代表権の所在が異なっていたりと、特徴はさまざまです。いずれを選ぶかで得られるメリットも、気を付けるべきリスクも変わります。

任意組合(現物出資)型

任意組合とは出資者が共同事業を営むための、民法上の枠組みの一つです。出資者が事業主体となるのが特徴で、言わば、投資家全員が契約の当事者になります。
任意組合型は基本的に、一口100万円程度からの長期運用を目的とするケースで、よく使われるのが特徴です。相続対策にもよく用いられています。
中でも「現物出資型」は対象となる不動産の共有持分を投資家が不動産売買により一旦取得しその持分を不動産特定共同事業者に出資するものです。事業者からの持分の取得及び出資の際に不動産登記が行われるため登記上組合員であることが明示される仕組みです。

任意組合(金銭出資)型

こちらも上記と同じく、任意組合の一類型です。相続対策に使われる点や、高額・長期運用も目的とするケースが多いなどの特徴は変わりません。
大きく違うのが、出資の方法です。「現物出資型」では投資家が不動産の共有持分を購入したうえでその持分を出資しますが、「金銭出資型」は投資家は任意組合に対して金銭を出資し出資を受けた任意組合が対象不動産を売買により取得する仕組みです。組合の業務執行組合員である不動産特定共同事業者が組合を代表して一連の行為を行います。
このため、組合員である投資家は、登記に名前が出ることはありません。事業者が組合代表として登記されます。ただ、名簿などを使えば所有者(出資者)を確認できるため、特に危険と言うわけではありません。また、相続対策上のメリットも、現物出資型とほぼ同じと言えます。

匿名組合型

少額かつ短期スパンでの投資に、良く利用される方式です。これは当事者が全員組合員になる任意組合と違い、事業者と匿名組合員に立場が分かれるのが特徴と言えます。
匿名組合では、事業者が何らかの事業を行い、匿名組合員はそれに出資して、収益の分配を受けるのが特徴です。出資財産は事業者に帰属するため、組合員は不動産の持分を取得しません。当然、組合員は自己名義で登記することはできません。
このように説明するとリスクが感じられるかもしれませんが、実際には事業者側が元本割れ対策を行っていることも多く、安全重視で投資したい方にも検討できるタイプとなっています。

不動産特定共同事業の商品

不動産特定共同事業法に基づいて投資家から出資を受けて、現物不動産を購入・運用するのが、不動産特定共同事業の特徴です。扱う不動産の種類は商業ビルやマンションなど多種多様で、これらを運用して得た収益を分配します。
そこで気を付けたいのが、どんな商品を扱えるのかです。具体的には、以下の二つに大別できるので、メリット・デメリットを確認していきましょう。上手に投資を行うためには、それぞれの特徴について正確に理解することが欠かせません。

不動産投資型クラウドファンディング

クラウドファンディングは、不特定多数の出資者がオンライン経由で、何かの目的のためにお金を出し合うのが特徴です。この仕組みを応用して、小口の不動産投資を行うのが「不動産投資型クラウドファンディング」です。
この商品では、ネット上で運用する不動産を紹介して、不特定多数の投資家を集めます。不動産は基本的に、運用利率や期間が公表されており、投資家は好ましい投資先を選択可能です。
このタイプは、現物投資よりも手続きは簡略化されています。投資家はオンラインで手続きを行えるため、ほとんどPC操作程度の負担しかありません。数ある不動産投資のタイプのうち、もっとも簡易な方法の一つと言えそうです。

不動産小口化商品

不動産投資としてイメージしやすいのは、マンションやビルのオーナーになって他人に貸し、賃料収入を得る方法ではないでしょうか。これには当然、不動産の購入費や入居者探し、土地建物の管理など手間暇がかかります。そこで、不動産を多数の投資家で共有し、運用や管理を事業者に任せることで負担を軽減したのが、不動産小口化商品です。例えば、1億円の不動産を、一口100万円に分けます。一口買えば、不動産の100分の1を取得できるわけです。収益の配分は購入した持分割合に応じて行われます。
似たような方法にREITがありますが、こちらは多数の不動産を所有する投資法人が発行する証券に投資するものです。対して、不動産小口化商品は特定された不動産を対象にすることで、不動産のプロが厳選した不動産に的を絞って投資できる点が特徴です。

参考
「そもそも不動産小口化商品とは?」「投資するメリットが知りたい」という方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
不動産小口化商品の基本、メリット・デメリットを詳しく解説しています。

不動産小口化商品とは?選ぶべきメリットと相続との関係

相続対策の効果とは

個人が亡くなった場合、所有していた現金や不動産は相続人に引き継がれます。この相続において、一定の条件を満たせば税金が課せられているわけです。近年は課税対象となる範囲を広げたため、課税対象になる方は増加傾向にあります。
そこで相続対策として、不動産を検討するケースが増えたのですが、如何せん、現物を一棟で購入すると後が大変です。費用も高額ですし、固定資産税や管理など、様々な負担があります。
そこで不動産小口化商品を使って相続対策をする方法が、注目を集めました。小口なので、遺産分割で揉める可能性も低くなります。相続人が3人いれば、3の倍数口買っておけば均等に分配可能です。 

不動産現物を所有できることがポイント

不動産現物を所有するのが、相続対策のポイントです。不動産特定共同事業では、任意組合型がこれに当たります。このタイプを利用すれば所有権の一部を取得することになるため、一棟の不動産を持つのと同じ効果が得られるわけです。
その理由は、不動産の評価方法にあります。基本的に「路線価」や「固定資産税評価額」で評価されるため、不動産は一般的に、市場価値より低く見積もられるのです。例えば、時価1000万円の不動産でも、評価額は700万円程度になって、後者の金額に課税されます。このため、現金を持っておくより、相続対策として不動産を選ぶ方が多いのです。

不動産小口化商品の「アドバンテージクラブ」

不動産特定共同事業への投資であれば、青山財産ネットワークスが提供する「アドバンテージクラブ」をご検討ください。
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など、さまざまなポイントで、多くの投資家の皆様にご好評いただいております。

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