2021.12.16
財産承継
1つの不動産を複数の相続人で遺産分割できる?3つの方法をご紹介

不動産を相続する場合、複数の相続人で遺産分割することが可能です。遺産分割にはいくつか方法があります。本記事にて、遺産分割の具体的な方法について詳細を解説していきます。不動産の遺産分割でお悩みの方は、ぜひご一読いただけますと幸いです。

相続した不動産は、相続人で分割できる?

遺産を相続した場合、遺言が無ければ相続人たちの間で遺産の分け方を協議する必要があります。この協議を「遺産分割協議」と呼びます。相続した遺産が不動産の場合でも、遺産分割協議で分割することが可能です。ただし、不動産の遺産分割は現金遺産の分割よりも難易度が高いです。
遺産が現金であれば、円単位で遺産を分割することができますが、不動産の場合は等分するのが難しいケースが多いからです。不動産の遺産を分割するためには、専門的な分割手法を活用する必要があります。

分割を検討する状況とは

相続人が複数人いる場合は、遺産の分割を検討しなければなりません。遺言が残っていて、特定の人物にのみ遺産が相続される場合は例外ですが、基本的には複数人で遺産を相続するケースが多いです。不動産は資産価値が比較的高いため、相続人の間で協議が難航することも。

不動産を遺産分割する3つの方法

不動産を遺産分割する方法として、下記の3つの方法が挙げられます。

  • 現物分割
  • 代償分割
  • 換価分割

それぞれどのような手法であるか、詳細を確認していきましょう。

1. 現物分割

現物分割とは、不動産をそのままの形で受け取る方法になります。遺産のうち不動産が複数ある際に有効な分割方法です。
たとえば、遺産のうち不動産が2つあり、相続人が2人の場合は、協議によって各不動産をそのまま1つずつ分け合います。不動産によって資産価値が異なるので、誰がどの不動産を相続するかは協議しなければなりません。特定の相続人が資産価値の高い不動産を独占してしまうケースもあるので、慎重に分割協議を行う必要があります。

●物理的に土地を分けて分筆する

土地を相続する場合は、法定相続割合に沿って土地を「分筆」することも可能です。分筆とは、一つの土地を複数に分けて登記する手法です。分けられた土地は、それぞれ別個の不動産として登記されます。一つの土地を陣取りのように区切るイメージです。
分筆を行うことで、遺産のうち土地が一つであっても分割して相続できます。ただし、分筆が行えるのは「土地」のみです。建物を分筆して相続することはできません。また、都道府県の条例によっては分筆が行えない土地もあるので注意してください。

2. 代償分割

代償分割とは、不動産を1人の相続人が受け取り、その相続人が残りの相続人に対して法定相続割合に沿って代償金を支払う手法です。不動産の現物分割が現実的に難しい場合、また相続トラブルを避けたい場合に、代償分割が利用されることが多いです。代償金を支払うことで不動産を相続できなかった相続人の不満を抑えやすい点、代償分割のメリットになります。

●代償金の支払いで解決

代償分割について、具体例を使って確認していきましょう。たとえば、6,000万円の資産価値がある土地を3人の子供たちが相続するとします。この際、長男が土地を相続して、2人の兄弟にそれぞれ法定相続分の割合に沿って代償金を支払います。
今回のケースだと、法定相続分の割合は「資産の1/3」ですので、長男は2人の兄弟に「2,000万円」ずつ支払わなければなりません。代償金の支払いによって、資産価値上は遺産を均等に相続できる形になります。
代償分割を実施する場合、相続する不動産の「評価」が必須になります。不動産の評価方法は多種多様であるため、どの評価方法を使うかで資産価値に差がつくケースも多いです。評価方法の選択で揉めてしまうこともあるので、注意しなければなりません。また、不動産の相続人が代償金を支払えるだけの経済的な余力がないと、代償分割を利用するのは難しいです。

3. 換価分割

換価分割とは、遺産の不動産を売却して、得られた売掛金・現金を分割相続する方法になります。現金単位で均等に遺産相続できるため、相続人間のトラブルを最小限に抑えられます。金銭的な不公平が生じない点も、換価分割のメリットです。

●不動産を売却してお金で分割

換価分割について、具体例を使って確認していきましょう。たとえば、6,000万円の不動産が遺産で残ったとします。相続人は子供3人です。不動産を6,000万円で売却し、諸経費600万円を差し引いた5,400万円が現金として入った際、この現金を子供3人で均等に分け合います。1人の子供が1,800万円の現金を受け取る形です。

上記の具体例で登場した「諸経費」とは、不動産会社に支払う仲介手数料などを指します。換価分割を利用すると、諸経費によって資産価値が目減りしてしまう点がデメリットです。また、不動産がすぐに売却できるとは限りません。売却を終えるまでに時間がかかってしまい、相続がスムーズに進められないこともあります。

分割せずに複数人で所有するには?

 

上記では、遺産の不動産を分割して相続する方法について解説してきましたが、どうしても分割相続では解決できないケースも出てくると思います。不動産を分割せずに複数人で所有するにはどうすればよいか、確認していきましょう。ただ、デメリットがあるため注意が必要です。

共有名義にする

不動産を分割せずに所有するためには、「共有名義」を利用する必要があります。共有名義とは、複数人間で不動産の所有持分を決めて登記を行う方法です。不動産の遺産相続における共有名義では、法定相続分の割合に沿って所有持分を決めていきます。たとえば、土地を3人の子供で共有名義とした場合、所有持分を1人当たり1/3と設定して登記を行います。

●共有名義のメリット

共有名義で遺産を相続することで、相続に際する不公平を限りなくゼロにすることができます。分割相続の場合だと、協議が難航してしまうケースが多く見られますが、共有名義であれば比較的スムーズに協議を進めることが可能です。遺産の不動産をそのままの形で共有することができるので、思い入れのある建物を売却する必要もありません。

●共有名義のデメリット

共有名義のデメリットとして、管理・処分の方法で揉めてしまう可能性ある点が挙げられます。遺産の建物にそのまま住む場合、誰が住むか、どの部屋を使うかなどで意見が対立してしまうことが多いです。特に、相続人が比較的高齢である場合、相続人の家族が遺産の建物に住むケースも出てきます。
共有名義で相続することを決定した時点で、どのように管理・処分していくか話し合うことが重要になります。
また、もし売却等をする場合には、共有名義人全員の同意が必要となります。3人いれば3人が同意しなければ、売却ができないのです。修繕や賃貸なども、単独での判断ではできません。
売却等ができず、次世代・次々世代へと枝分かれしていくにつれて、共有不動産がトラブルにつながる確率はより高まっていくことになります。
これらのトラブルに見舞われ、専門家に相談する方も多くいらっしゃいます。
子どもたちのために平等になるよう、よかれと思って共有にするとかえって裏目に出てしまうため、
おすすめはできません。

不動産の分割には「遺産分割協議書」が必要?

 

不動産の分割相続では「遺産分割協議書」が必要になる場合があります。遺産分割協議書とは、遺産分割協議において合意された遺産分割の内容をまとめた書類です。遺産分割協議書が不必要であるケースもあるので、作成が必須という訳ではありません。どのような場合に遺産分割協議書が必要になるのか確認していきましょう。

必要な場合

遺産分割協議を実施して、相続人が遺産分割に合意した場合は、遺産分割協議書の作成は必須です。遺産分割協議書がないと、どのように遺産分割が行われるのか、客観的な証明が残りません。相続後にトラブルにならないよう、遺産分割協議書を必ず作成する必要があります。

相続した不動産のお悩みはプロにお任せ

不動産の分割相続などを相続人間ですべて解決するのは、非常にストレスのかかる作業です。遺産分割をきっかけに、家族関係が悪化してしまうケースも見られます。余計なストレスをかけずに、スムーズに不動産相続を進めたい場合は、相続不動産専門のコンサルティング会社の利用がおすすめです。コンサルティング会社には、不動産相続のプロが在籍しています。客観的な立場で分割相続を支援してくれる点は、非常に心強いです。
不動産相続について、無料で相談を受けているコンサルティング会社もあります。相続した不動産でお悩みの方は、ぜひ相続不動産専門のコンサルティング会社を利用してみてください。



 

まとめ

不動産を遺産相続した場合、複数の相続人で遺産を分割することが可能です。遺産分割の方法は「現物分割」「代償分割」「換価分割」の3つがあります。ケースに応じて、適切な分割方法を選びましょう。
不動産の遺産相続が難航する場合は、早めに不動産相続の専門家に相談するのがおすすめです。
不動産の遺産相続でお困りの際は、青山財産ネットワークスにお任せください。まずは無料相談から、遺産分割の方法や手続きについてお手伝いさせていただきます。 

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