2022.01.21
税制・法令
所得税における青色申告の概要と特典

「青色申告とは」

青色申告は、一定水準の記帳に基づき、正しい所得金額や税額を計算し、確定申告する制度です。
このため、白色申告にはない多くの特典を利用することができます

「適用できる方」

不動産所得事業所得、山林所得のある方

「申請手続」

以下の期間に「青色申告承認申請書」を納税地の所轄税務署長に提出する。
  • 原則・・・青色申告をしようとする年の3月15日まで
  • 新規開業の場合・・・業務を開始した日から2月以内

「帳簿書類とその保存」

  • 貸借対照表、損益計算書、仕訳帳、総勘定元帳、簡易帳簿(現金出納帳、売掛帳等)など・・・7年間
  • 請求書、見積書、納品書など・・・5年間

「青色申告とその流れ」

 

青色申告の特典

青色申告の主な特典として、以下のものがあります。

  特典 青色申告  白色申告
家族従業員の給与   青色事業専従者給与として原則全額必要経費算入   一人当たり最高50万円(配偶者は86万円)まで必要経費算入
特別控除  最高65万円を所得金額から控除
(①事業的規模による不動産所得または事業所得がある ②複式簿記による記帳と貸借対照表及び損益計算書の申告書への添付 ③電子申告又は電子帳簿の保存のすべてを満たす場合)

最高55万円を所得金額から控除
(上記①、②を満たす場合)

最高10万円を所得金額から控除
(上記①~③を満たさない場合)
 控除なし
 各種引当金の繰り入れ  貸倒引当金、退職給与引当金等の一定の引当額の繰り入れができる  貸倒引当金に限り繰り入れができる
 棚卸資産の低価法の選択  低価法の選択が可能  低価法の選択は不可
 少額減価償却資産の特例  中小事業者については取得価額30万円未満の減価償却資産は取得価額全額を必要経費に算入できる(限度300万円)  適用できない
 減価償却  普通償却に加え特定設備等の特別償却等ができる  適用できない
 純損失の繰越控除  翌年以降3年間の繰越控除が可能  原則不可(変動所得又は被災事業用資産の損失のみ繰越控除が可能)
 純損失の繰戻し  繰戻しによる税還付が可能  繰戻し還付は不可
 更正の制限  帳簿調査した後でなければ更正不可  推計により更正・決定される場合がある

「まとめ」

 青色申告も白色申告も帳簿を作成し、正確に所得を計算しなければならないことに変わりありません。白色申告で帳簿を作成しなかったり資料の提示を拒むと正しい所得を確認できないため、推計課税されることがあります。推計課税は税務署が資産状況、生活状況などから所得を推定し課税するため、実際の所得より高い税金が課税されるリスクがあります。

 一方、青色申告には様々な特典があります。例えば、事業開始直後は初期投資などで所得が赤字になることがありますが、青色申告であれば純損失の繰越控除により、この赤字を翌年以降3年間の所得から差し引いて税金を軽減することができます。このような青色申告のメリットを考慮し、ぜひ、青色申告を積極的に検討してみてはいかがでしょうか。

※詳細については、税理士・税理士法人等の専門家や所轄の税務署等にお問い合わせ下さい。

 


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