2022.04.11
事業承継
事業承継はどこに相談するべき?
相談先のまとめとベストな事業承継の流れを解説


事業承継は、ただ経営者の交代をする、というだけではありません。法務面や税務面の処理、関係者への周知など、手続きややるべきことは多岐に渡ります。

初めての事業承継で、何から始めればいいのかわからない……という方は、事業承継の相談窓口に相談をしてみましょう。中でもおすすめなのは、事業承継を専門的にサポートしているコンサルティング会社です。豊富な実績や幅広いネットワークにより、親族承継、社員承継、第三者承継、場合によっては転廃業といった選択肢から最適なサポートを受けることができます。

本記事では事業承継の相談先の候補や、事業承継コンサルティング会社のメリットなどをご紹介していきます。

 

事業承継、どこに相談すればいい?

会社の経営権を後継者に受け継ぐ「事業承継」。承継と言っても単に会社の経営者を変えるだけではありません。だれに承継すれば会社が存続・成長していけるのか、経営理念や経営者の信用などの知的財産はどのように承継すれば良いか、株式などの資産はどのように承継するのか、承継に係る税金の納税資金はどうするかというように決めるべきことは実に多くあります。

後継者に会社を任せても問題ないか、承継に関して関係者の理解を得ることができるのかといった考慮すべき問題も多く、ご自身の判断だけで事業承継を行うには大きなリスクや手間が伴います。そのため、税理士や弁護士、コンサルティング会社など専門の機関に相談するのが良いでしょう。

専門家に相談することで、後継者への経営の承継支援はもちろんのこと、税金などの財産面や法律面の問題を解決することができるため、理想的な事業承継が可能となります。相談先はさまざまですが、どのように事業承継を行っていきたいのかを明確にしたうえでぴったりの相談先を見つけていきましょう。

中小企業に広がる事業承継の実態


引用元:「2020年「休廃業・解散企業」動向調査」(東京商工リサーチ)

まずは、日本の中小企業における事業承継の実態について簡単に見ていきましょう。
 
日本の中小企業の経営者は平均年齢が上昇し、全体的に経営者の高齢化が進んでいます。
東京商工リサーチによる2020年の調査結果では、同年に休廃業した企業の経営者の年齢は60歳以上が84.2%となっていますが、2021年の調査では86%に上昇しました。事業が立ち行かなくなってしまった企業の経営者の年齢層は、年々高くなっている状況です。経営者は一般の会社員とは異なり、一定の年齢に到達しても現役として続けるケースが多いです。しかし、経営者の年齢が上がるほど事業承継が難しくなり、いずれ企業の成長が停滞したり衰退してしまうことになるかもしれません。
 
また現時点では、従業員数が少なく金融機関からの融資を受けていない中小企業については自分の代で廃業を予定している傾向もあり、円滑な事業承継が行われなければ一気に中小企業の数が減少してしまう可能性もあります。

出典:「2020年「休廃業・解散企業」動向調査」(東京商工リサーチ)

背景には後継者不足という国の課題も

引用元:「2020年「休廃業・解散企業」動向調査」(東京商工リサーチ)


廃業を検討している中小企業が多くなっているのには、後継者が圧倒的に不足しているという国の課題も背景にあります。東京商工リサーチが行った調査では、全国の会社のうち約58.6%が後継者不在の状態にあるというデータが出ています。

企業経営者の高齢化が進んでいるだけでなく、後継者不在の企業が非常に多いことで思うように事業承継ができずに企業が衰退してしまうのです。

出典:「2020年「休廃業・解散企業」動向調査」(東京商工リサーチ)

事業承継を検討する際の相談先まとめ

事業承継を検討する際は専門機関に相談するのがおすすめです。専門家に相談することで、ご自身や自社だけでは抱えきれない問題も解決することができます。事業承継を相談できる機関にはいくつかの選択肢があるので、それぞれの特徴を把握して円滑に事業承継を進められるようにしましょう。

事業引継ぎ相談窓口

事業引継ぎ相談窓口は、中小企業庁から委託を受けた事業承継相談のための公的機関です。全国47都道府県の各認定支援機関(商工会議所など)に設置されており、事業の引継ぎに関する情報の提供や助言を行っています。

後継者不在などの要因で、事業の引継ぎを検討している中小企業や、小規模事業者の経営資源を引き継ぐ意志のある企業などに対して、専門家による課題解決に向けた助言やマッチング支援などを受けることができる機関です。
 
事業引継ぎ相談窓口は公的な機関であるため偏った対応や営業をされる心配がなく、基本的には無料で相談をすることができます。
さらに事業引継ぎ支援の需要が多い北海道、宮城、東京、静岡、愛知、大阪、福岡の7か所には「事業引継ぎ支援センター」が設置されており、通常の相談窓口に比べてより専門的な支援を受けることが可能です。 

弁護士

弁護士に相談するという方法もあります。
 
弁護士は法律の専門家であるため、事業承継にかかる法律や株式の承継に関する書類作成、金融機関・取引先との関係調整等に関する相談まで対応できます。特に契約書などの書類関係は記入ミスがあるとトラブルに発展してしまう可能性があります。専門家に依頼することで書類作成の手間やリスクを大幅に軽減することが可能です。
 
弁護士は、法律的な問題を全般的に相談できるメリットがあるので、法律関連で不安がある場合には検討してみると良いでしょう。

金融機関

企業活動をしてきた中で、長期的な関係を築いてきた金融機関に相談することもできます。
 
融資をどれほど受けているか、どの程度密に関わってきたかなどによって相談のしやすさは変わってくる可能性があります。しかし、基本的にはある程度付き合いがある分相談しやすく、金融機関によっては事業承継のセミナーを開催している場合もあるので専門的なサポートを受けることができるでしょう。
 
金融機関が事業承継に関してより専門的な会社や別の窓口を紹介することもありますが、これまでの事業活動について理解があるため、まずは相談してみるのも良いでしょう。

公認会計士または税理士

長年顧問契約を結んでいる公認会計士や税理士がいる場合は、事業承継の相談先として候補になります。

職業上会計面や税務関係に非常に強く経験豊富な場合が多いため、事業承継において壁となる「税金」について、自社株を後継者へどのように移転させると負担が少なくなるか等、税金や財務についての様々な課題への専門的なサポートが期待できます。また、顧問契約を結んでいる場合は会社の経営状況を詳しく把握しているので、話し合いや手続きもスムーズに行うことができるでしょう。

公認会計士や税理士だからといって事業承継に強いとは言い切れませんが、相談先の一つとして有力な選択肢です。

事業承継コンサルティング会社

事業承継コンサルティング会社は、事業承継に精通した専門会社です。
 
事業承継に関する知識や実績が豊富で、さまざまな状況に対して最適な選択をするためのサポートを受けることができます。
主な選択肢は以下の4つです。

 • 親族承継
 • 社員承継
 • M&A等の第三者承継
 • 転廃業

会社の経営・財務の状況、株主構成、後継者の選定・育成、経営者ご自身の資産状況等の全体的な視点で現状を分析し、経営の承継はもちろんのこと自社株式等の財産の承継についても最適なサポートを受けることが可能です。実績が豊富なだけではなく、幅広いネットワークを有しているのも特徴です。第三者承継先企業とのマッチングや、書類の作成やトラブルの防止・解決等で各士業と連携し円滑な承継の支援をしてくれる等、事業承継に関することならどのようなことでも相談可能です。
 
依頼する会社によってサポート内容が違ったり費用が異なる可能性はありますが、
納得のいく事業承継をするためにも、総合的に対応できる事業承継コンサルティング会社は相談先として非常におすすめです。

事業承継コンサルティング会社に相談するメリット



ご紹介した通り、事業承継の相談先はさまざまで、自社の状況に合わせて最適な相談先を選ぶことになります。その中でも事業承継コンサルティング会社は特におすすめの相談先です。ここでは事業承継コンサルティング会社に相談するメリットを4つご紹介します。

豊富な実績

まず考えられるメリットが、さまざまな形式の事業承継に関する実績が豊富だということです。
 
事業承継コンサルティング会社は事業承継を専門に行っており、知識や実績が非常に豊富です。事業承継に関するノウハウが社内で蓄積されていることが多く、その経験から事業承継に関して適切なアドバイスやサポートを受けることができます。

適切なアドバイスやサポートを受けられることにより、事業承継にかかる精神的な負担、時間的な負担や手間を減らすことができるのでスムーズに手続きを進めることが可能です。

専門性の高さ

事業承継コンサルティング会社は、その専門性の高さも魅力です。
 
自社株式の株価試算や株式譲渡・贈与実行支援、種類株式の導入支援といった事業承継に関する知識や実績が豊富なだけでなく、承継候補者との相談や会社従業員への周知など、事業承継を統括的にサポートしています。事業承継は法務面や税務面の手続きだけでなく、こういった細かい手続きも必要です。事業承継コンサルティング会社に依頼することで、始めから終わりまで滞りなく事業承継を進めていくことができます。

 

専門家との連携

事業承継コンサルティング会社のメリットは、公認会計士や税理士、弁護士など各分野の専門家とも連携しているネットワークの広さにもあります。税務面が不安なら、公認会計士や税理士、法務面や書類作成が不安であれば弁護士や行政書士など、状況に応じてそれぞれの分野の専門家と連携したサポートを受けることが可能です。
 
各専門機関にそれぞれ依頼するよりも総合的に事業承継をサポートしてくれるので、時間や手間を抑えることが可能です。

事業承継のプロであるということ

ここまで述べてきた通り、事業承継コンサルティング会社は事業承継のプロです。各士業からも事業承継のサポートを受けることはできますが、これらの機関は事業承継に特化しているわけではありません。
 
税務面や法務面においては専門的なアドバイスを受けることができても、関係者の意思確認や説得、条件の交渉、従業員への周知など専門分野以外は対応していないことがほとんどです。それに対してコンサルティング会社は事業承継に特化した専門機関。事業承継を一から十までサポートしてもらうことができます。

事業承継の流れ

ここでは事業承継の具体的な流れをご紹介します。事業承継は基本的に以下の6つの手順で進めていきます。

1.  会社の状況を把握
2.  後継者の選定
3.  経営改善
4.  事業計画書の作成
5.  関係者への説明
6.  計画書に基づいて引き継ぎ

 

1. 会社の状況を把握

まずは自社の資産状況や株式保有状況、株式評価額など会社の現在の状況を確実に把握します。財務諸表などから自社がどのような状況なのかしっかりと知っておきましょう。

2. 後継者の選定

親族や自社内に後継者候補がいれば承継に関しての打診を行い、いなければ第三者への承継を検討します。

3. 経営改善

より良い状態で会社を後継者に引き継ぐため経営改善を行います。財政状態の改善や社員のスキルアップなどできる限り経営状況改善に努めましょう。

4. 事業計画書の作成

事業承継を失敗させないために事業計画を念入りに作成しましょう。事業計画書には会社の状況や後継者候補について詳しく記載すると良いです。

5. 関係者への説明

事業承継が確実なものとなったら、取引先や従業員といった関係者に向けて、事業承継に関する説明を行います。取引先との契約解除や従業員の離職などがないように、事業承継が確実になったタイミングで適切に行いましょう。

6. 計画書に基づいて引継ぎ

関係者への説明を終えたら計画書に基づいて引継ぎを行います。後継者へ経営権が引き継がれたら事業承継は終了です。

事業承継の悩みは早めにプロに相談しよう

事業承継についての相談先をご紹介してきましたが、事業承継の悩みはすぐに専門機関に相談しましょう。
 
事業承継などの手続きは法律や税金が深く関係してくることもあり自分だけでは解決できない可能性が高いです。事業承継に関して、各分野に精通したプロに頼るという選択肢を持つことが大切です。気になることがあれば早めに相談することで、失敗を防ぐことができます。

まとめ

必要な知識や手続きが複雑な事業承継。個人の判断で進めようとすると失敗してしまう可能性が高くなります。
 
事業承継の相談先としては事業引継ぎ相談窓口や弁護士などの士業、金融機関などさまざま考えられますが、中でも事業承継を専門としているコンサルティング会社がおすすめです。
 
事業承継コンサルティング会社は事業承継の実績が豊富で専門性が高く、公認会計士や税理士など各専門機関とのつながりも強いため総合的に事業承継をサポートしてくれます。負担を減らして円滑に事業承継を進められるよう、事業承継を検討しているのであれば早めに相談してみましょう。

ご相談は青山財産ネットワークスへ

このように事業の承継では、「経営の承継」と自社株を含めた「財産の承継」の2つの側面があり、後継者問題や、相続等の問題を解決し、経営と財産を円滑に承継する必要があります。青山財産ネットワークスは、創立30年以上、事業承継・相続といった財産の承継・運用・管理に関わる企業オーナー・資産家の悩みの解決に尽力してきました。

事業承継を成功させる上では、「考え方」と「計画」が特に重要です。30年以上の実績から得られた「5つの視点」と「全体最適」の考え方をもとに、国家資格保有者150名以上を有する専門家集団としてバランスの取れた承継プランの策定・実行の支援をさせていただきます。

いつから始めたら良いのか、何から始めればよいのかと少しでも悩んだらぜひご相談ください。後継者、従業員、ご家族も含め企業オーナー様が皆様から感謝される、そういった事業承継をご支援いたします。

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