2022.06.08
市況・トレンド
STO(セキュリティトークンオファリング)を解説

Security Token Offering(セキュリティトークンオファリング)

最近、新聞などのメディアで見かける機会の増えた「STO」という言葉について、皆さんはご存知でしょうか。
STOとは何なのか、何ができるのかについて、解説いたします。

STOとは?

STOとはなんでしょうか。

STOとは「Security Token Offering(セキュリティトークンオファリング)」の略で、デジタル証券として発行された法令上の有価証券を使い、資金調達を図る手法です。ここで言うセキュリティとは有価証券のことを表し、トークンは電子的な証票、オファリングは募集を表します。利用が期待される分野は、株式のほか、社債、不動産など多岐にわたります。

セキュリティトークンは、デジタルデータにより所有権の証明や譲渡をすることができ、書面によるやり取りが不要です。また、金融商品取引法等の法規制に準拠した形で取引されることが前提となっているため、投資家保護が担保されています。

海外ではアメリカ、ドイツをはじめ、シンガポールなど数多くの国々で普及が進んでおり、日本国内においても、債券・不動産を中心にした市場の拡大が期待されています。

STOの法令上の定義

STOやセキュリティトークンの定義そのものは、金融商品取引法の中で明示されているものではありません。
STOの普及を図る一般社団法人日本STO協会は、「伝統的なエクイティファイナンス・デットファイナンスに代わる新しい資金調達方法、株式や社債に代わる新しい金融商品の提供、これらのニーズをテクノロジーの進化を通じて、法令に準拠した形でサービス提供する仕組みがSTOと呼ばれる仕組みであり、日本では『電子記録移転権利』と呼ばれます。」と説明しています。

電子記録移転権利は、金融商品取引法において「[金商法2条2]項各号に掲げる権利(電子情報処理組織を用いて移転することができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されるものに限る。)に表示される場合(流通性その他の事情を勘案して内閣府令で定める場合を除く。)に限る。以下「電子記録移転権利」という。)」と定義されており、匿名組合出資持分などの集団投資スキーム持分や特定の信託受益権をトークン化したものが電子記録移転権利に該当します。

STOのデータ保護

ブロックチェーン技術

セキュリティトークンは、デジタル証券の保有データなどをブロックチェーン技術で保護することによって、第三者を介さずに安全に取引ができます。このブロックチェーン技術を用いて保護されたデータは改ざんが非常に困難で、取引の記録を消すことができません。

さらに、自律分散システムであるためにシステムダウンが起きず、管理者を置く必要もありません。運用の手間が掛からないのも、利用上の大きなメリットになっています。
日本では、法規制等の関係で全てのメリットを享受できるわけではないものの、安全かつ安定したシステム運用を行うことが可能な仕組みになっています。

STOとセカンダリー市場

2020年5月に施行された金融商品取引法の改正により、日本でもSTOが行えるようになりました。

一方、STOにより発行されたトークンを投資家間で直接売買するための法整備は現状十分になされておらず、投資家間での売買が可能なセカンダリー市場の開設に向けた陳情活動を業界団体が中心となって行っています。

国内のSTO事業

国内では大手証券会社を中心にSTO事業への参入企業が増加しており、2021年から続々と販売のスタートが切られています。

不動産を裏付けとしたSTOにおいては、投資対象の物件も多岐にわたることから成長が期待されています。
国土交通省の推計によると、国内における不動産投資市場における収益不動産市場は約208兆円あり、そのうち証券化された不動産市場は成長しているものの未だ約33兆円となっており、STO事業も含め今後さらなる発展が見込まれています。
※出典:国土交通省「不動産投資市場の現状について」https://www.mlit.go.jp/common/001242304.pdf

当社のSTO事業

当社においても、STO事業の開始に向けて準備を進めています。

パートナーには、ブロックチェーン技術に強みを持つHash DasH Holdings株式会社を迎え、事業を展開します。目標は24時間365日、少額から不動産投資ができる環境の整備です。

本事業における当社の役割は、これまで培ってきた不動産ノウハウを生かした投資用物件の供給です。事業開始後は良質な物件をご提供し、お客様の信頼に応えていきたいと考えています。
尚、本事業は2022年中の開始を目指しています。


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