相続対策で資産管理会社は有効?仕組み・メリット・デメリット・設立前の注意点を解説

2026.06.09
金融資産家 土地持ち資産家 企業オーナー 資産管理会社

相続対策を考えるとき、多くの方が思い浮かべるのは、生前贈与、遺言書、不動産の組み換え、生命保険の活用などではないでしょうか。

こうした対策に加えて検討されるのが資産管理会社ですが、結論からいうと、資産管理会社による相続対策は、一定以上の資産規模があり、賃貸不動産などの収益資産を保有している場合に有効な選択肢になり得ます。

個人に蓄積される収益を法人に移すことで資産の増加をコントロールしやすくなり、株式という形で承継を設計できる点が特徴です。

一方で、設立すれば必ず相続税が下がるわけではありません。設立・維持コストがかかるほか、資産移転時に税金や費用が発生したり、個人で使える特例が使いにくくなるケースもあります。

そのため、相続税だけでなく、所得税・法人税・維持コスト・管理体制・承継方法まで含めた総合的な判断が不可欠です。

本記事では、資産管理会社が有効なケース・向かないケース、仕組み、メリット・デメリット、設立前に確認すべきポイントを整理します。

  • 相続税の発生が見込まれる資産家
  • オーナー社長
  • 副業や資産運用で一定の所得があるサラリーマン

の方はぜひ参考にしてみてください。

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この記事のポイント

  • 資産管理会社は、相続対策だけでなく、収益の受け皿や承継の器を整える手法です。
  • 有効になりやすいのは、継続収益がある資産を持ち、長期保有や次世代承継まで見据えるケースです。
  • 向かないのは、相続税がそもそも発生しにくい規模や、短期売却前提、運営体制がないケースです。
  • 設立判断では、相続税、所得税、法人税、社会保険、維持費、承継体制を通算で比較する必要があります。

相続対策として資産管理会社は有効?まず結論を整理

資産管理会社は、個人で持つ資産や収益を法人に集約し、個人財産の増加を抑えながら、承継しやすい形に整える手法です。特に、賃貸不動産や有価証券などから継続的な収益が生じ、その収益が個人に積み上がって相続財産を増やしている場合には、法人を受け皿にすることで財産の増加スピードを調整しやすくなります。

また、不動産そのものを相続人に直接分けるのではなく、資産管理会社の株式や持分を承継させる形にできるため、承継の設計を整理しやすい点も大きな特徴です。

ただし、資産管理会社の活用は万能な相続対策ではありません。相続税の基礎控除の範囲内に収まる財産規模であれば、そもそも相続税が発生しないこともあります。その場合、会社を設立しても、設立費用や維持費だけが増える結果になりかねません。

また、個人所有の土地については、小規模宅地等の特例など、個人保有を前提に効果を発揮する制度があります。法人に移すことで、こうした特例の利用可否や効果が変わることもあります。

したがって、資産管理会社を検討する際は、相続税の観点だけではなく、「所得の帰属先をどうするか」「資産を誰が管理するか」「次世代にどのような持ち方で渡すか」「設立から廃業までの総コストはいくらか」を総合的に見る必要があります。

有効になりやすいケース

資産管理会社が有効になりやすいのは、賃貸マンション、アパート、オフィスビル、駐車場など、毎年安定した収益を生む資産を複数持っているケースです。個人で賃貸収入を受け取り続けると、その所得が個人に集中し、所得税や住民税の負担が重くなるだけでなく、税引後の資金が個人財産として蓄積されます。将来の相続時には、その蓄積された財産も相続税の課税対象となるため、長期的には相続財産が膨らみやすくなります。

また、相続税だけでなく、次世代承継や家族内の持ち分整理まで見据えるケースでも、資産管理会社は検討対象になります。複数の不動産は、現物で公平に分けることが難しく、共有にすると管理や意思決定が複雑になるためです。資産管理会社で保有していれば、相続の対象を株式や持分に置き換え、割合調整によって承継設計をしやすくなります。

さらに、親世代だけでなく子ども世代が管理運営に関与し、長期的に家族で資産を守っていきたい場合にも効果が出やすいといえます。実務上は、相続税の観点だけでなく、相続後に家族が資産を維持できる体制をつくれるかどうかが重要な判断ポイントになります。

向かないケース

一方で、資産管理会社が向かないケースもあります。代表的なのは、相続税がそもそも発生しない、または発生しても少額にとどまるケースです。その場合、法人住民税の均等割や会計・税務の維持負担の方が大きくなり、過剰対応になる可能性があります。

また、短期間で売却する予定の資産しかない場合も、資産管理会社との相性はよくありません。資産管理会社は、長期保有を前提に収益や管理体制を整え、複数世代で承継していく設計に向いているためです。

さらに、家族の中に会社運営を担う体制がない場合も慎重な判断が必要です。資産管理会社は相続対策のための器であっても、法律上は会社です。帳簿作成、決算、税務申告、役員報酬管理、意思決定などの事務を継続できなければ、設立後に形骸化してしまうおそれがあります。

資産管理会社とは

資産管理会社とは、不動産や有価証券、現預金などの資産を、個人ではなく法人で保有・管理・運用するために設立する会社です。通常の事業会社のように商品販売やサービス提供で利益を上げることを主目的にするのではなく、家族や一族が持つ財産を法人に集約し、そこから生じる収益を管理する役割を担います。

「資産管理会社」という特別な会社類型が法律上あるわけではなく、株式会社や合同会社など一般の会社形態を利用して設立します。相続対策として資産管理会社を使う場合に重要なのは、財産の所有者を個人から会社へ変えることです。

個人が不動産を持っていれば、賃料収入も資産価値の増加も個人に帰属します。会社が保有していれば、収益は会社に入り、個人は役員報酬や配当、株式価値といった別の形で利益を持つことになります。この違いにより、所得の集中、財産の増加、承継の方法を見直すことができます。

ただし、資産管理会社は個人財産を移して終わりではありません。法人名義で資産を持つ以上、事業目的、資金管理、会計処理、議事録作成など、会社としての実態とルールが必要です。

資産管理会社で管理する主な資産

資産管理会社で管理しやすいのは、賃貸不動産、有価証券、現預金など、継続的に管理や運用が発生する資産です。特に賃貸マンション、アパート、オフィス、店舗、駐車場などの収益不動産は、法人保有との比較がしやすく、資産管理会社との相性がよいケースが多くあります。

また、上場株式や投資信託などの金融資産も対象になり得ますが、評価変動や配当・売却益の扱い、資金使途などを踏まえて慎重に検討する必要があります。

一方で、自宅や別荘、自家用車など家族が個人的に使う資産は、法人に入れればよいとは限りません。法人所有にすると、個人利用部分の扱い、経済的利益、賃料設定、相続税特例との関係が複雑になります。資産管理会社に入れる資産は、継続収益や管理の必要性があり、法人で持つ合理性を説明できるものを中心に選ぶのが基本です。

個人保有との違い

個人保有と資産管理会社保有の最大の違いは、収益と財産価値の帰属先です。個人が賃貸不動産を所有している場合、賃料収入は個人の不動産所得となり、税引き後の手残りは個人財産として蓄積されます。収益性の高い不動産ほど、時間の経過とともに個人財産が増えやすい構造です。

一方で、資産管理会社を使うと、収益は法人に計上されます。個人は会社から役員報酬を受け取ったり、株主として配当を受けたり、会社の株式価値を保有したりする形になります。もちろん、法人に利益が残れば会社の価値が上がり、株式評価に反映されるため、単に法人に入れれば相続財産が消えるわけではありません。

もう一つの違いは、承継の対象です。個人保有の不動産は、土地や建物そのものを相続人が取得する必要がありますが、法人保有であれば、承継の中心は会社の株式や持分になります。現物不動産の分けにくさを、持分割合で調整しやすくなる点が大きな違いです。

会社設立が相続対策になる仕組み

資産管理会社による相続対策は、不動産や収益をそのまま個人に積み上げるのではなく、法人を通じて管理することで、財産の持ち方と承継の方法を変える点にあります。相続税は、原則として相続開始時点における被相続人の財産価値をもとに計算されるため、相続発生までに個人財産がどれだけ増えるか、どのような形で持っているかが重要です。

資産管理会社を使うと、賃貸収入や運用収益を法人に集約し、役員報酬や株式保有割合を通じて家族に分散する設計が可能になります。また、相続時には不動産そのものではなく、会社の株式や持分を中心に承継を考えることができます。

ただし、法人化による相続対策は、短期的な節税だけを目的にすると失敗しやすい手法です。設立時の資産移転、役員報酬の設定、家族間の持分設計、将来の廃業可能性まで連動して考える必要があります。相続税だけでなく、毎年の所得税・社会保険・法人維持費まで通算で見るべきです。

収益や財産増加を法人に寄せられる

個人で賃貸不動産を所有していると、毎年の賃料収入は個人の所得になり、税引き後の資金が個人に蓄積されます。相続対策の観点では、この蓄積が将来の相続財産を増やす要因になります。資産管理会社を設立し、収益を法人に帰属させることで、個人に直接積み上がる財産を抑えやすくなります。

もっとも、法人に利益を残せば会社の純資産が増え、結果として株式や持分の評価額が上がる可能性があります。法人に収益を寄せることは、相続財産を消すことではなく、財産の増え方と帰属先を調整することです。役員報酬をいくらにするか、会社にどれだけ内部留保するか、再投資に回すかによって効果は変わります。

相続対策では、法人に寄せた後の資金の流れまで設計することが重要です。

株式という形で承継しやすくなる

資産管理会社を使うと、相続時の中心的な承継対象は不動産そのものではなく、会社の株式または出資持分になります。これは、相続対策において非常に大きな意味を持ちます。

不動産は一つひとつの価額が大きく、収益性も管理負担も異なるため、相続人間で公平に分けることが難しい財産です。共有にすると、売却、修繕、借入、建替えなどの意思決定が複雑になり、相続後のトラブルにつながることがあります。

株式や持分であれば、割合を設定し、誰にどの程度承継させるかを調整しやすくなります。ただし、株式化すれば必ず円満に分けられるわけではありません。相続人全員に同じ割合で持たせることが公平に見えても、実際の運営では責任と権限の不一致が問題になることがあります。誰に経営権を持たせ、誰に経済的利益を持たせるのかまで含めて、株主構成を設計する必要があります。

家族への役員報酬や持株設計で分散できる

資産管理会社では、家族を役員にして会社運営に関与させることがあります。実際に物件管理、金融機関対応、入出金確認、修繕計画、賃貸管理会社との連絡、会計資料の整理などを担う家族がいれば、その職務に応じた役員報酬を支払う設計が考えられます。これにより、収益が親世代の個人所得に集中する状態を緩和し、家族全体で所得を受ける形に近づけることができます。

ただし、役員報酬は自由に設定すればよいものではありません。業務実態と金額の合理性が必要であり、税務上のルールも満たさなければなりません。持株設計についても、単に分散すればよいわけではなく、議決権や承継後の運営まで見据えて設計しなければ、将来の混乱要因になることがあります。

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資産管理会社を設立するメリット

資産管理会社のメリットは、相続税の観点だけに限定されません。むしろ実務上は、収益の帰属先を整理すること、資産の承継方法を株式や持分に置き換えること、家族で資産を管理するルールをつくることに価値があります。

青山財産ネットワークスでは、資産管理会社のメリットを「相続対策として機能するか」だけでなく、「家族全体で管理しやすくなるか」「相続後の共有化リスクを減らせるか」という視点で評価することが重要だと考えています。

毎年の所得を分散しやすい

個人で賃貸不動産を所有していると、収益は所有者一人に集中します。特に給与所得や事業所得がすでに高い方が大きな不動産所得を得ている場合、毎年の税負担は重くなりやすいです。

資産管理会社を利用すると、収益はいったん法人に入り、そこから会社運営に関与する家族に役員報酬を支払うことで、所得を家族に分散する余地が生まれます。適切に設計できれば、個人一人に所得が偏る状態を緩和し、家族全体で見た可処分所得や将来の財産形成を見直しやすくなります。

不動産そのものより承継・分割の設計がしやすい

不動産は、相続財産の中でも分割が難しい代表的な資産です。現金は金額で分けられますが、不動産は場所、面積、収益力、築年数、将来の修繕負担がそれぞれ異なります。複数の相続人がいる場合、誰がどの不動産を取得するかで公平感が崩れやすく、共有にすると将来の意思決定も難しくなります。

資産管理会社で不動産を保有していれば、相続人が承継するのは会社の株式や持分になります。これにより、現物不動産を直接分けるのではなく、会社全体の価値を持分割合で承継する設計が可能になります。特に、収益がある資産と承継設計したい資産については、現物分割よりも会社単位で持たせた方が、相続発生時の共有化リスクを減らしやすいケースがあります。

資産管理と意思決定を家族で整理しやすい

資産管理会社を設立すると、家族の中で誰が資産を管理し、誰が意思決定を行い、誰が報酬を受けるのかを会社の仕組みとして整理できます。個人資産のままでは、親が実質的にすべてを管理し、子ども世代は相続が発生するまで詳細を把握していないというケースも少なくありません。

会社化すれば、決算書、試算表、株主名簿、賃貸借契約、借入契約などを法人単位で整理できます。毎年の決算を通して、資産の収益性や費用構造も見えやすくなります。親世代が元気なうちに子ども世代を役員として関与させれば、相続発生前から管理ノウハウを引き継ぐこともできます。これは、税金だけでは測れない大きなメリットです。

資産管理会社を設立するデメリット

資産管理会社には多くのメリットがある一方で、設立すれば自動的に得をするわけではありません。むしろ、設立前の試算が不十分なまま進めると、想定した効果が出ないだけでなく、税金、社会保険、会計、家族間調整などの負担が増えるだけに終わる可能性があります。

特に注意したいのは、設立時・移転時のコスト、個人で使える制度を失うリスク、維持費、廃業時の負担、制度改正の影響です。資産管理会社は長期で使う器であるため、入口のコストだけでなく、維持費、制度変更、廃業時のコストまで含めて判断する必要があります。

設立時・資産移転時に税金とコストがかかる

資産管理会社を設立する際には、会社設立そのものに費用がかかります。設立登記の登録免許税、定款作成や登記申請を専門家に依頼する場合の報酬などが発生します。さらに重要なのは、個人財産を会社に移す段階の税金とコストです。個人が所有する不動産を会社に売却する形を取れば、個人側に譲渡所得税が発生することがあり、会社側では不動産取得税、登録免許税、司法書士費用などが問題になります。

入口コストを軽視すると、資産管理会社の効果を過大評価しやすくなります。資産を会社へ移す方法は一つではなく、売買、現物出資、管理委託など、どの方法を採るかによって税務・会計・登記・金融機関対応は異なります。それぞれの目的と費用対効果を見比べて決める必要があります。

個人で使える相続税特例が使えなくなる場合がある

資産管理会社を検討する際に見落とされやすいのが、個人保有で使える相続税の特例との比較です。代表例が小規模宅地等の特例です。一定の要件を満たす居住用や事業用の宅地について相続税評価額を大きく減額できる制度ですが、資産を法人に移すことで、従来と同じ形では利用できなくなる場合があります。

相続対策のために法人化したのに、他の大きな特例を失えば、かえって不利になることがあります。特に自宅や親族が生活に使っている土地、個人事業に関連する土地などは、法人に移す前に慎重な比較が必要です。

維持費・社会保険・事務負担が続く

資産管理会社は、設立後も毎年コストがかかります。法人住民税の均等割、会計帳簿の作成、決算、法人税申告、地方税申告などが必要で、税理士に依頼すれば顧問料や申告報酬も発生します。個人で不動産所得を申告する場合と比べて、法人会計は処理が複雑になりやすく、事務負担は増えます。

社会保険の問題もあります。法人は原則として社会保険の適用事業所となり、役員報酬を受ける役員について健康保険・厚生年金の加入が必要になることがあります。所得税だけを見て役員報酬を設計すると、社会保険料を含めた総負担で想定と異なる結果になることがあります。

廃業や資産の戻し入れは簡単ではない

資産管理会社は、不要になったからといって簡単にやめられるものではありません。解散・清算には複数の手続きと費用が必要であり、会社財産を個人に戻す際にも税金や登記コストが発生することがあります。

そのため、短期利用前提の設計は相性がよくありません。設立時には、将来売却する可能性、相続人が会社を継続する意思、廃業時の手続きまで見込んだ上で判断する必要があります。

税制改正の影響を受ける

資産管理会社を使った相続対策は、税制や社会保険制度の前提に影響を受けます。現時点で有利に見える方法であっても、将来の税制改正により効果が薄れる、または不利になる可能性があります。

特に、実態の乏しい会社、合理性のない役員報酬、過度な評価引き下げを狙った取引は、将来の税務調査や制度改正のリスクを受けやすくなります。制度の隙間を突く発想ではなく、資産の管理・承継に必要な合理的な仕組みとして設計することが重要です。

設立前に確認したいポイント

資産管理会社の設立を検討する際は、「会社をつくるかどうか」から考えるのではなく、「何を会社に入れ、誰が持ち、誰が運営し、どのように承継するか」から考えることが重要です。資産管理会社は器にすぎず、器の中に入れる資産、株主・役員構成、資金の流れ、将来の承継計画が不明確なままでは効果を発揮しません。

設立前には、現状の財産評価、相続税見込額、毎年の所得税負担、法人化した場合の法人税・社会保険・維持費、資産移転時の税金、将来の株式評価を総合的に試算します。単年で見れば有利でも、十年単位で見るとコストが上回ることがあり、反対に初期費用はかかっても、長期で見れば承継と管理の安定につながるケースもあります。

会社に移す資産と移さない資産を分けて考える

資産管理会社を設立するからといって、すべての資産を法人に移す必要はありません。むしろ、資産ごとに法人保有に向くものと向かないものを分けて考えることが重要です。法人に移しやすいのは、賃貸不動産などの収益資産、長期保有を前提とする資産、管理業務が継続的に発生する資産です。

一方で、自宅、生活用資産、近く売却する予定の不動産、含み益が大きく移転時の譲渡税負担が重い資産などは、法人化に慎重であるべきです。実務ではまず財産一覧を作成し、各資産について「収益を生むか」「長期保有するか」「相続時に分けにくいか」「移転時の税金はいくらか」「個人保有で使える特例はあるか」を整理し、その上で、法人に入れる資産、個人で残す資産、売却や組み換えを検討する資産を分けます。

相続税・所得税・法人税をまとめて試算する

資産管理会社の効果は、相続税だけを見ても判断できません。相続税が下がるように見えても、毎年の法人税、社会保険料、法人住民税、設立時・移転時の税金を含めると、総コストが増える場合があります。逆に、所得税の負担が非常に重く、収益不動産を長期保有する場合には、毎年の所得分散効果と将来の承継効果を合わせて考えることで、法人化の合理性が見えてくることがあります。

試算では、少なくとも「個人を続けた場合」と「法人に移した場合」を比較し、5年後、10年後、20年後にどの程度の差が出るかを確認することが重要です。資産管理会社は長期戦略であるため、単年度の税負担額だけで判断すると誤ります。

株主・役員・承継先を最初に設計する

資産管理会社をつくる際は、誰を株主または社員にするか、誰を役員にするか、将来誰に承継させるかを最初に設計する必要があります。とりあえず親がすべて持って会社をつくり、後から考えようとすると、株式評価が上がった後の贈与や売買が難しくなることがあります。反対に、最初から子どもに持分を持たせすぎると、親の意思決定権が弱まり、家族間の関係変化に対応しにくくなることもあります。

役員構成も同様です。実際に管理を担う人を役員にすることで、業務の責任と報酬の関係を明確にできます。高齢の親だけが役員で、子ども世代が会社の内容を把握していない状態では、相続発生後に運営が止まる可能性があります。会社をつくること自体より、株主・役員・承継先の設計の方が、相続後の安定に直結します。

資産管理会社は「合同会社」の方がよい?

資産管理会社を設立する場合、株式会社ではなく合同会社を選ぶケースは少なくありません。主な理由は、設立コストや運営コストを抑えやすいことです。家族内の資産管理会社であれば、機関設計がシンプルな合同会社の方が実態に合いやすいことがあります。

ただし、合同会社を選べば常に最適というわけではありません。株式会社には、株式という形で持分を表しやすく、承継や議決権設計の選択肢があるという利点もあります。したがって、会社形態は単に「安いから」で決めるのではなく、家族構成や承継方針、議決権設計、将来の持分移転のしやすさを踏まえて判断します。初期費用だけで選ぶのではなく、10年後、20年後の承継と運営の姿から逆算して決めることが大切です。

よくある質問(FAQ)

資産管理会社をつくれば、相続税は下がりますか。

必ず下がるわけではありません。資産の種類、収益規模、設立・維持コスト、個人保有で使える特例の有無によって、個人保有の方が有利なケースもあります。

どのような人が資産管理会社に向いていますか。

収益不動産など継続収益を生む資産を持ち、相続税だけでなく毎年の所得税負担や次世代承継まで見直したい方に向きやすいです。

相続税がかからない場合でも、会社をつくる意味はありますか。

一概にはいえません。相続税以外に管理体制や承継整理のメリットが出ることもありますが、財産規模によっては維持コストの方が重くなることがあります。

すべての資産を会社に入れた方がよいですか。

いいえ。収益資産や長期保有資産は会社と相性がよい一方、自宅や短期売却予定資産は個人保有の方が合理的な場合があります。

子どもを株主や役員にした方がよいですか。

ケースによります。承継設計上は有効なことがありますが、議決権や将来の意思決定に影響するため、経営権と経済的利益の配分を含めて設計する必要があります。

まとめ|資産管理会社は相続税対策だけでなく承継設計で判断する

資産管理会社は、相続対策として有効になり得る手法です。賃貸不動産などの収益資産を持ち、個人に所得や財産が集中している場合、法人を受け皿にすることで毎年の所得の帰属先を見直し、将来の財産承継を見据えた計画的な財産管理を行いやすくなります。また、不動産そのものを相続人に直接分けるのではなく、株式や持分として承継することで、分割や管理の設計を整理しやすくなります。

一方で、資産管理会社は誰にでも向く万能策ではありません。設立時・資産移転時には税金とコストがかかり、設立後も法人住民税、会計処理、税務申告、社会保険、役員報酬管理などの負担が続きます。個人で持っていれば使えた相続税の特例が、法人化によって使いにくくなる場合もあります。

大切なのは、相続税だけでなく、所得税、法人税、社会保険、維持費、資産移転コスト、家族の意思決定、次世代への承継まで含めて判断することです。資産管理会社は「税金を減らす箱」ではなく、「財産をどう守り、どう運用し、誰にどのように引き継ぐか」を形にするための器です。設立前に現状を正確に把握し、長期のシミュレーションを行い、家族内で目的を共有した上で進めることが、後悔しない相続対策につながります。

青山財産ネットワークスが支援できること

青山財産ネットワークスは、相続対策として資産管理会社を設立し、資産を円滑に承継したいと考えるお客様に対して、設立から資産の運用・管理・承継までをワンストップで支援しています。

公認会計士、税理士、司法書士などの国家資格を持つ150名以上の専門家がチームを組み、複雑な資産構成や相続・事業承継の問題に対応します。単なる目先の課題解決ではなく、企業とファミリー(個人)の財務双方の視点から、同族法人も含めた全体最適のプランを立案します。

現金や不動産などの見える財産だけでなく、親族間の関係性や先代の想いといった見えない財産も考慮に入れた総合的なコンサルティングが特徴です。会社は設立して終わりではなく、次世代・次々世代まで100年先を見据えて財産を守るための継続的なフォロー体制を重視しています。

資産管理会社の活用では、会社をつくるかどうかだけでなく、何を法人に移すか、誰を株主・役員にするか、相続税と所得税をどのように比較するかまでを一体で考える必要があります。青山財産ネットワークスでは、不動産・税務・承継を横断して整理し、資産管理会社が本当に適しているかどうかを含めて総合的に支援しています。

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