変わる時代、変わらない想い - お客様が本当に守りたいもの <財産承継編>-

2026.10.14

1991年に創業した青山財産ネットワークスは、今年35周年を迎えました。35年の間に時代は変化し、お客様の悩みも変化し続けています。しかし、お客様に寄り添い、何を未来へ残したいのかを一緒に考える私たちの姿勢は、35年間変わっていません。
財産承継を支援するコンサルタントが、近年、資産家の方々が抱える「相続」の課題、その解決の取り組み、
これまでの歩みの中で大切にしてきた想いをお伝えします。

八木 優幸yagi masayuki
常務執行役員 サステナビリティ本部 本部長

1991年の入社以来、35年にわたり個人資産家向けの財産コンサルティングに従事。相続や承継の現場で培った経験から、制度や理論だけではなく、お客様やご家族の想いや感情にも目を向けた支援を大切にしている。信条は「お客様の役に立ち、喜んでいただくこと」。

八木 優幸

相続への「想い」は昔と変わらない一方、環境に変化

私は35年にわたり、資産家の方々の財産承継をお手伝いしてきました。ご相談いただく内容は今も昔も基本的に変わっていません。

「財産を後世にできるだけ残したい」と「家族に仲良く暮らしてほしい」――根底にある想いはこの二つです。ただ、その想いを実現するために対策しなければならないことは大きく変わりました。

近年、相続を取り巻く環境は大きく変化しています。社会環境の変化や税制改正などを背景に、これまで活用されてきた財産承継の手法についても見直しが進んでいます。かつては財産の評価方法にさまざまな選択肢がありましたが、近年は制度の整備が進み、活用できる方法や適用条件が変化しています。不動産についても、承継を見据えた対応にはこれまで以上に計画性や長期的な視点が求められるようになっています。

そして、「家族仲良く」という想いも、望み通りに運びにくくなっています。昔は「長子相続」が一般的であり、ほかの兄弟には、いわゆる「ハンコ代」として300万円、500万円、多くても1000万円ほどを渡し、分割協議を円満に終えていました。ところが最近は、ご家族それぞれの事情や将来設計を踏まえ、一定の財産の相続を希望されるケースが増えています。そのため、以前のような対応だけでは合意形成が難しくなり、分割協議に時間を要することも少なくありません。

背景の一つには、バブル崩壊以降続く、経済的な先行きへの不安があります。将来への備えを重視する人が増える中、親から受け継ぐ財産を生活の安心や選択肢を広げるための重要な資産と考えるケースも増えています。こうした意識の変化が、相続をめぐる家族の考え方にも影響を与えているのです。

遺産分割の話し合いは、長くキャッチボールを続けるほど人間関係が壊れやすいものです。相続をめぐって兄弟が争う話も耳にするようになり、お客様からは「うちの家族は揉めてほしくない。どうすればいいか」というご相談をいただくことが増えています。

こうした環境変化の中で、お客様への向き合い方が変わりました。私は相談を受けると、財産の内容に加えて、親子や兄弟の関係を伺います。例えば、「親御さんと長男の関係は良くても、長男と次男はあまりうまくいっていない」といった事情が潜んでいるかもしれません。親族の人間関係を知ることで、相続後に何が起こり得るかを予測し、対策を講じられます。

通常、身内の事情を外部の人に話すのは抵抗感もあるものです。それでも、私たちには率直に、ざっくばらんに話してくださるお客様が多くいます。「税務のことは税理士に任せていても、財産や相続の相談相手としては違う気がする」「銀行は身近な相談相手だが、相続や財産全体のことをどこまで相談してよいのか迷う」という方は少なくありません。

誰に相談するか悩んだ結果、相続の支援実績が豊富な私たちに出会い、ご安心いただけるようです。これまでには、複数のお客様から「こういう会社に出会いたかった」「こういう会社を探していた」という言葉をかけていただきました。

家族に揉め事が生じるリスクを想定し、「二次相続」まで見据えて対策

ご家族の関係性についてお話を伺っていくと、「この相続ではトラブルが発生しそうだ」と予測できます。では、それをどのように防ぐか。必須の対策としてご提案するのが「遺言書の作成」です。

親が亡くなった後、子どもたちの間で何度も遺産分割の話し合いを重ねると、後に遺恨が残ることがあります。親の考えを生前に整理し、遺言書に残しておくことは、揉め事を防ぐための大切な対策です。

ただ、遺言は作ればよいというものではなく、かえって不満を生むこともあります。例えば、お父様が子どもたちのことを想い、一次相続で後継者以外の兄弟にも多くの財産を渡したとします。そのため、お母様が、二次相続の際にすべての財産を後継者に相続させる旨の遺言書を作成した場合、後継者以外の兄弟は一次相続で多くの財産を受け取ったのに二次相続では受け取れないことに不満を抱きかねません。先にあげすぎてしまうと、このような弊害が出ることがあります。

最初の相続では子どもに渡す額を抑え、お母様の相続の際にも受け取れるようにする。そうした配分まで考える必要があります。お母様まで亡くなると親は誰もいなくなり、兄弟だけで遺産分割の話をしなければなりません。こうした二次相続の方が揉めるケースが多いため、家として残したい財産は、一次相続時に後継者に相続させておくように遺言書を作成することも多いです。

遺言書には、財産の分け方だけでなく、本人の想いを記す「付言」という部分もあります。これは、家族への想いや、その分け方にした理由を伝える文章のことです。財産を受け取る人たちが親の考えを理解できるように遺言の内容を工夫することで、子どもたちの納得感が高まります。

ですから、私が「承継のお手伝いがうまくいった」と実感するのは、お父様もお母様も亡くなり、子どもたちだけになったとき、遺産分割協議で兄弟が納得し、円満に調印が済んだ瞬間なのです。

なお、協議の過程では、私たちが家族の間に入って橋渡しをすることもあります。親族全員を一度に集めると言い合いになってしまいそうな場合、一人ひとりを個別に訪ねます。お父様の想いを伝えながら、相続人それぞれの気持ちも聴き、皆さんが歩み寄れる着地点を探していくのです。

あるご家族では、お父様が残した遺言の内容に次男の方が納得しなかった場合を想定して、追加で次男に相続させても良い財産を確認していました。そして承継時、生前のお父様から伺っていた考えを長男の方に伝え、長男の相続分の一部を次男に譲る形で遺産分割協議を進めました。結果として、弟さんはお兄さんに感謝し、兄弟の円満な関係を保つことができました。このお父様は将来の兄弟間トラブルを懸念され、生前から当社にご相談いただいていたのです。

このように、生前の対策が重要ですが、「うちの家族は大丈夫」と思っている方も少なくありません。しかし、そういう方ほど、いざ相続手続きに入ったときにトラブルが生じるケースを多く見てきました。「大丈夫だろう」と思っていても、やはり遺言の内容をしっかり検討しておくことが大切なのです。

「対策」だけでなく、「心」に寄り添う支援を

多くの相続を支援してきた中で、コンサルタントとしての私の姿勢も変わってきました。若い頃の私は、「対策」そのものを中心に仕事を組み立てていたと思います。しかし、制度にのっとった方法や理論だけでは足りないことに気付き、「感情」にも目を向けるようになったのです。

相続人がその分け方をどう受け止めるのか。どうすれば皆さんが納得して、それぞれ幸せな人生を歩んでいけるのか。心に寄り添うことを意識するようになりました。

一方、コンサルタントとして変わらずに大切にしてきたことは「お客様の役に立ち、喜んでいただく」というこだわりです。小さな案件であっても全力で取り組み、何か動いたらすぐに報告する。その積み重ねで、お客様との信頼関係を築いてこられたと感じています。

お客様とは、財産に関するご相談だけでなく、食事をご一緒したり、趣味を一緒に楽しんだり、さまざまな時間を共有してきました。そうした仕事以外での何気ない交流も、信頼関係を築くうえで大切なものだったと感じています。

特に印象に残っている出来事があります。長くお付き合いしていたお客様がお亡くなりになった後、ご家族とお話しする機会がありました。その際、それまであまり面識のなかったご家族から、「相続は八木さんに任せろというのが父の遺言なので、よろしくお願いします」と声をかけていただいたのです。
お客様ご本人だけでなく、ご家族にも信頼していただけていたことが本当にうれしく、今でも強く記憶に残っています。同時に、その期待に応えなければならないという責任の重さも感じました。この経験は、お客様やご家族に寄り添い続けることの大切さを改めて教えてくれた出来事です。

私が青山財産ネットワークスで長年この仕事を続けてこられたのは、「自分の良心に従い、正しく生きられる」「自分に恥じない仕事ができる」からです。お客様の立場に立って考え、必要と思えるものを自由に提案できる風土があるのです。

こうした当社の環境を活用し、これからも自分自身、そして家族に誇れる仕事を続けていきたいと思います。

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