高齢化社会の進展に伴い、遺言に関心を持つ人が増えています。遺言には特殊なものを含めると7種類あります。このうち、社会的に広く知られているのは自筆証書遺言と公正証書遺言です。今回は近年の遺言の作成状況について解説します。
自筆証書遺言書の作成件数
自筆証書遺言は遺言者が自分で作成し、保管します。公的機関での手続きはないため、公的統計を通じて年間の作成件数を把握できるものではありません。しかし、指標となる統計が2つあります。
自筆証書遺言保管制度の申請件数
自筆証書遺言は法務局で保管することもできるようになりました。この制度は令和2年に始まったもので「自筆証書遺言保管制度」と言います。本制度を利用すると検認は不要です。本制度の申請件数は以下の通り公表されています。

上記のとおり、本制度を活用した申請数は年々増加しています。
家庭裁判所の検認数
遺言書の保管者又はこれを発見した相続人は、遺言者の死亡を知った後、遅滞なく遺言書を家庭裁判所に提出して、 「検認」を請求しなければなりません。なお、公正証書による遺言及び、法務局において保管されている自筆証書遺言については、検認の必要はありません。司法統計で検認数が以下のとおり公表されています。

検認は死後に行われる手続きのため1年間に作成された件数とは言えませんが、傾向をつかむのには参考となります。上記の通り、検認数は年々増加しています。
公正証書遺言の作成件数
公正証書遺言の作成件数については日本公証人連合会が作成件数を公表しています。詳しくは以下のとおりです。

公正証書遺言の作成件数は年間10万件以上で推移しており、かつ、年々増加しています。上記の自筆証書遺言保管制度の利用数、家庭裁判所の検認数を大幅に上回っています。
死亡者数の推移
厚生労働省が「人口動態統計月報」と呼ばれる統計を発表しており、死亡者数を確認することができます。詳しい死亡者数は以下の通りです。

死亡者数も年々増加傾向にあることがわかります。
まとめ
遺言の作成時期等と、遺言者の死亡時期は同時ではないため、正確な遺言の普及率を算定することはできません。しかし、上記の統計で遺言の普及について大まかな傾向をつかむことはできます。
上記の統計から、近年、自筆証書遺言の保管制度、遺言の検認数、公正証書遺言死亡者数はそれぞれ増加傾向である一方、死亡者数も概ね同程度で増加傾向にあることがわかります。

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構成員の大半は税理士資格を保有。専門知識と実務経験を生かし、お客様の財産及び事業の承継に関するソリューションについて、税務と資金の視点からアドバイスを行う。大きく「不動産」と「非上場株式」に特化したグループに分け、それぞれ調査研究し、情報収集とストラクチャーの立案に努めている。
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