2024.01.24
財産運用
土地活用の方法8選!選定時のポイントとメリット・デメリットを解説
土地は、使い方次第で大きな収益をもたらしてくれる可能性があります。そのため、土地を所有している方の中には、土地活用に興味を持たれている方もいるでしょう。
ただ、数多くある土地活用の方法から自分の土地に合った活用法を見つけるのは、非常に難しいものです。

では、土地活用方法はどのように選べばいいのでしょうか。

この記事では、土地活用の方法を検討するポイントや、土地活用の方法の具体例とそれぞれのメリットとデメリット、土地活用を始める前に注意すべき点などについて紹介していきます。

土地活用の方法を検討するポイント

土地活用の方法を検討するポイント
土地活用にはさまざまな目的がありますが、取り組む上で共通して意識しておくべき点があります。

まずは、土地活用を始めるにあたり、どの方法が最適かを検討するポイントについて解説していきます。

立地条件

土地活用を検討する上で重視するべき観点の1つが、土地の立地や周辺環境といった立地条件です。
立地によって最適な土地活用の方法は異なるため、その土地に合った活用法を見極めることが重要です。

判断基準となる観点は、たとえば以下のようなものがあります。

・土地の形状や地積
・前面道路の幅員や接道の長さ
・人口密度や将来の人口推移
・電車・バスなどの利便性
・駅からの距離
・幹線道路との距離
・周辺エリアに多い施設の業種

自分の土地がどのような立地にあるのかをあらゆる角度から見極めて、更にマクロ的な要素(金利の状況や建設資材価格の推移等)も織り込んだ上で、適切な土地活用の方法を検討するのをお薦めします。

収益性

収入を期待して、土地活用を始める人も多いでしょう。そこで重視されるのが、収益性の高さです。

ただ、土地活用の方法によって見込める収益は異なります。
活用方法や入居するテナントの業態によって利回りの相場も異なるため、土地のポテンシャルを最大限に発揮できる活用法で取り組んでいくことが、土地活用を行う上では重要な考え方です。

初期費用として必要な金額

土地活用を始めるためには、基本的に一定の初期費用が必要です。

マンションや大規模な店舗など大きな建物を建てる場合は、数千万円~数億円の費用がかかる可能性があります。
多額の資金が必要な土地活用では、自己資金だけでは足りずに銀行などからの融資を受けなければならないかもしれません。

その一方で、駐車場にする場合などは少額で済みます。
このように、土地活用の方法によって必要な初期費用は異なりますので、自分の資金状況に応じて、返済額や返済期間も検証した上で、土地活用を選ぶとリスクを抑えやすくなります。

主な土地活用の方法8選

主な土地活用の方法8選
土地活用と言えば賃貸アパートや賃貸マンションといった住居用の不動産経営をイメージするかもしれませんが、他にもさまざまな方法があります。

そこでこちらでは、主な土地活用の方法を取り上げ、それぞれのメリットとデメリットについて解説します。
土地活用に興味を持たれている方は、ぜひ参考にしてください。

アパート・マンションの経営

賃貸アパートまたは賃貸マンションを建てて、オーナーとして経営するという手法です。
駅チカの場所、都心部から通勤しやすい場所などでは需要があり、高い収益が期待できます。

一方、建物を建てるためにはある程度の面積が必要で、一般的に30坪以上の土地があれば実現が可能です。


◎メリット
賃貸住宅の需要が高い大都市圏にある、生活利便性や日当たりに優れた土地であれば、入居者が見つかりやすいでしょう。

そのため、上手に経営すれば、長年にわたって安定した収益を得られる可能性があります。


◎デメリット
建物だけでも数千万円単位の建築費用がかかるので、初期費用は高めになっています。
また、賃料の下落および空室率の上昇も懸念点です。周辺に新たな競合物件が出現することでリスクは高まりますし、今後は賃貸需要層の人口減少も見込まれています。

さらに、経営を続ける限り、不動産会社に支払う管理費や、大規模修繕、室内のメンテナンス費用などの経費も必要です。

駐車場の経営

駐車場には、月極駐車場とコインパーキングの2パターンがあります。駅から近い場所や住宅地、さらにはオフィス街や商業エリア近辺などでは高い稼働率を期待できます。1台分のスペースがあれば開設することが可能です。


◎メリット
土地の面積や形状による制限があまりなく、狭小地や変形地にも設けられます。また、初期投資が少額で済み、他の用途に転用する場合の手間暇やコストも少ないのが特徴です。


◎デメリット
他の土地活用と比較すると初期費用やランニングコストが抑えられる一方で、固定資産税の負担感も重くなり、収益性も低いことがデメリットです。

戸建賃貸住宅の経営

土地に賃貸用の戸建住宅を建て、入居者から賃料を得る活用法です。
集合住宅と比べると足音や声などの生活音による近隣トラブルが生まれづらいため、ファミリー層からの需要が期待できます。

アパートやマンションを建てるのが難しい面積の土地でも、コンパクトな戸建であれば建てられるでしょう。


◎メリット
戸建て賃貸を手掛けるハウスメーカーも増えており、建物や設備の仕様は戸建て分譲のものと同じレベルに仕上げることが出来ます。
そのため入居者が一度付くと、長期的な安定収益が見込めます。また、賃貸物件ではあるもの、管理やメンテナンスの手間はマンションと比較してかかりません。

相続時には中古の戸建物件として売却することも可能です。


◎デメリット
入居者が転居して空室になると、次の入居者が決まるまでは賃料収入を得られません。
また、賃貸マンション・アパートと比べると1戸あたりの賃料が高額です。

そのため、借り入れで返済計画を立てる際には、空室率や空室期間を厳しめに見積もる必要があります。

シェアハウス

シェアハウスは、1つの建物で複数の入居者が共同生活を送る賃貸住宅です。
各入居者の居室に加え、リビングやキッチン、浴室、トイレなど共用の設備があるのが特徴です。

入居者同士の交流ができる点などから、若者からの注目を集めやすい住まいの形態であると言えます。
賃貸マンション・アパートと同じく、都市部など人口が多い地域で需要があります。


◎メリット
入居者1人あたりの専有面積が少ないため、他の賃貸物件よりも㎡あたりの収益単価が高くなります。
また、人気物件ともなると退去待ちの借り手候補も多く、常に部屋が埋まっている状態です。


◎デメリット
入居者が共同生活を送っているため、入居者同士でトラブルが発生する可能性は否定できません。
サブリース契約で管理事業者に一括転貸している場合は、賃料の減額交渉や解約時に収益性が大きく低下する恐れがあります。

トランクルーム

土地の敷地内にトランクルームを設置して、荷物を置きたい人に貸し出して利用料を得る土地活用の手段です。

住居が建てにくい変形地や狭小地でも始めやすいため、住宅地やオフィスが密集する地域に向いています。


◎メリット
トランクルームは、アパートなどが建てにくい変形地や狭小地でも始められます。
設置にかかる初期費用は少なく、維持管理費用もそれほどかからないので、コスト面でのメリットがあります。


◎デメリット
建築できるエリアが限られており、道路からの視認性や交通量により実現性が大きく左右されます。
また、自宅の敷地が広い住宅が多い地域では、収納のニーズが乏しいため収益を期待することはできません。

ロードサイド店舗の経営

交通量の多い幹線道路沿いの土地に店舗を建てて、テナントに貸して収入を得る手法です。
コンビニやファストフード店、ドラッグストアなどが借り手となるケースが多々見られます。

来店客は車で訪れることが前提のため、一定規模の広さの駐車場を設けるスペースが必要です。


◎メリット
国道のように交通量が多い幹線道路であれば、集客しやすいのが魅力です。
賃料は都市部と比べると安いため、借り手が見つかりやすい傾向にあります。

店舗の売上が良好な場合は、長期間継続して賃貸することができ、また、住居用の活用と比較して高い収益が期待できるでしょう。


◎デメリット
店舗の経営が安定しない場合には、入居しているテナントが撤退してしまい、結果として収入が得られなくなる恐れがあります。

次のテナントが決まらない状況に陥らないよう、土地活用の検討時にどの程度の引き合いがあるかも検証することが重要です。

高齢者施設

老人ホームやデイサービスなどの高齢者施設を建築し、賃料収入を得る方法です。
社会福祉法人や医療法人といった福祉事業者と賃貸契約を結び、建物を一括借上げしてもらって施設を運営するケースが一般的です。

高齢者施設で利用者1人あたりに必要な面積は法律で定められています。入居型施設の場合は、最低でも300坪程度あるのが望ましいでしょう。


◎メリット
施設の運営自体は事業者が行うので土地の所有者にかかる手間暇やコストの負担が少なく、また、長期にわたり安定収入が得られます。
高齢化社会が進む日本では社会的なニーズも高く、地域貢献にもつながります。


◎デメリット
広い土地と大きい建物が必要なため、高額な初期費用がかかる傾向があります。また、他の用途への転用が難しいのも、デメリットと言えます。
賃貸借契約時には、解約条項などを厳しく定めることが重要です。

太陽光発電

太陽光発電の設備を設置し、電力会社に売電して収益を得ることも可能です。太陽光発電には住宅用と発電量の大きい産業用の2つのパターンがありますが、土地活用が目的の場合は産業用があてはまります。農地をそのまま使えて、100坪以上の広さがあれば設置を検討するのもいいかもしれません。


◎メリット
他の土地活用とは異なり、集客などを心配する必要がありません。そのため、土地さえあれば、年間を通じて一定以上の売電収入が得られます。


◎デメリット
売電収入を得られるものの、収益性は他の土地活用と比較して低めです。また、発電量は天候に左右されるので、晴れの日が少ない場所では収益がなかなか得られません。
規模が大きい場合は初期費用も莫大になるため、初期費用を回収するまでには長い期間を要します。

土地活用を始める前に注意したいこと

土地活用を始める前に注意したいこと
土地活用には様々な方法がありますが、実際に始める前に入念な事前調査や準備を行わなければ、期待していた成果が得られなかったり、何らかのトラブルが発生したりする可能性が高くなります。

そこでこちらでは、土地活用を始めるにあたって注意しておきたいことについて解説していきます。

土地の用途には制限がある

土地の用途は都市計画法によって定められていて、活用方法の選択肢が限定されているケースもあります。土地活用を検討する場合には、まずその土地にどのような建築制限がかかっているかの確認が必要です。

用途地域は大きく「住居系」「商業系」「工業系」の3つに分かれており、全部で13種類あります。

たとえば第一種低層住居専用地域は建物の高さが10m(もしくは12m)に制限されているため、高い建物が建てられません。そのため、自分が所有している土地にはどのような条件があるのかをあらかじめ調べてから、土地活用の方法を選択することが重要です。

ランニングコストがかかる

継続して収益を得るには、建物や設備を適切に維持管理や修繕をする必要があります。
管理会社に委託する場合、多くの費用がかかる可能性が高いでしょう。また、土地も所有しているだけで固定資産税を支払う義務が生じます。

このように土地活用の方法によっては、将来にわたってランニングコストを払い続ける必要があることを理解しなければなりません。

まとめ

アパートやマンション、店舗、駐車場など、土地活用には非常に多くの選択肢があります。土地活用を成功させるためには、複数の観点から自分が所有している土地に適した活用法を見極めることが重要です。
また、どんな土地活用にもリスクはあります。目先のメリットばかりを見てしまうと、思わぬ落とし穴もあります。収益を得られるどころか赤字になってしまう場合もあるかもしれません。

将来の財産分割も踏まえて、土地活用の方法ごとに想定されるリスクを理解して、あらかじめ対策を用意してから実際に始めるようにしましょう。

青山財産ネットワークスの特徴

青山財産ネットワークスでは、税理士、司法書士など、国家資格を有する専門家が 150 名以上在籍し、30 年以上の豊富な実績に基づき、お客様のご希望に沿って、土地を含む資産の管理・運用・相続に関するさまざまなご提案をしております。

お客様とその親族の方々にとって最良の結果になるようプランをご提案いたします。

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監修者

       青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
  青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
-1級ファイナンシャル・プランニング技能士
-シニア・プライベートバンカー
-公認不動産コンサルティングマスター
-宅地建物取引士
・経歴
不動産や信託の活用を軸とした永続型の財産承継コンサルティングを現場の最前線で行っている。節税目的の相続対策に警鐘を鳴らし、「財産全体が最適」となる承継・管理・運用を土台とするファミリーコンサルティングを幅広く手掛ける。ナレッジを集約した書籍を発行。セミナー登壇実績多数。YouTubeにて動画コンテンツも配信中。

・著書
青山財産ネットワークスの30年に渡るノウハウをまとめた『「5つの視点」で資産と想いを遺す~人生100年時代の相続対策』を執筆。2021年(11月15日-11月21日)紀伊国屋書店新宿本店 ビジネス書ランキング 第1位

※役職名、内容等は2024年1月時点のものです。

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