2024.02.22
財産承継
贈与税とは?課税の仕組みや課税対象、控除などについて解説
自分が保有している財産を無償で他者に与える行為を「贈与」と呼びます。贈与の際に発生する税金が贈与税で、贈与を受けた人は贈与税を支払うことになります。
どれくらいの贈与を受けるとどの程度の贈与税がかかるのか、大きな額の贈与を受ける可能性がある場合は非常に気になる点と言えるでしょう。

そこでこの記事では、贈与税の基本的な概要に始まり、課税される対象や課税方法、贈与税が軽減される特例、贈与が実施される際の注意点などについて解説していきます。

贈与税の基礎知識


他人に財産を与える行為が贈与であり、贈与が行われると税金が発生する場合があります。これが贈与税です。

まずは、贈与税についての基本的な仕組みについて理解を深めていきましょう。

 

贈与税の概要

贈与税とは、個人間で発生する財産の贈与に対して課せられる税金です。
財産を贈与する側が「贈与者」、財産を受け取る側が「受贈者」で、贈与税は受贈者が支払います。

1月1日から12月31日までの1年間に受け取った財産の課税価格が110万円を超えた場合、超えた部分が課税の対象になります。

贈与税の申告・納税の方法

贈与税の申告・納税の期間は、贈与を受けた翌年の2月1日~3月15日です。
贈与税の申告書は、郵便・信書便で税務署へ送付・持参、もしくはe-Taxで送信します。

納税方法は、原則として現金での一括納付で、税務署や金融機関、コンビニエンスストアなどに加え、クレジットカード納付やe-Taxなどでの納付も可能です。

贈与税を申告しなかった場合の罰則

期間内に贈与税が申告されなかった場合、本来納めるべき金額にプラスして無申告加算税が課されます。
納税額を本来より少なく申告すると、追加納税額に対し過少申告加算税も加わりますが、自主的に修正申告した場合は課されません。

また、意図的に申告しなかった場合は重加算税の対象になり、さらに納税が遅れた場合は遅れた日数に応じて延滞税がかかります。

相続税との違い

贈与税は、「贈与者」が生存している間に贈与を行うことで発生します。贈与者と受贈者の血縁関係は問われません。
一方で誰かが亡くなった際に子などの親族が財産を引き継ぐことを相続と言い、その際に発生するのが相続税です。相続税は相続人などに対して発生し、相続人となるのは子どもや兄弟などの血縁者が一般的です。

なお、相続税は以下の流れで計算します。

(1)相続税課税価格の合計から基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を差し引く
(2)相続人ごとの法定相続分で配分して税額を計算し、各人の税額を合計して、相続税の総額を計算する
(3)相続税の総額を、実際に取得する遺産額の割合に応じて按分した後に、諸控除などを差し引いて割り出し、実際に納める金額を計算する

贈与税が課せられる対象

贈与税は、個人から財産を譲り受けた際にかかるものです。
個人から個人への贈与が対象なので、親から子に財産を贈与する場合であっても贈与税は課されます。
そこで気になるのは、どのような財産が贈与税の課税対象となるのかという点です。

こちらでは、贈与税の課税対象になるものとならないものについて解説していきます。

贈与税の対象になるもの

贈与税の対象となるのは、現金や預金をはじめ、土地や建物などの不動産、株式、貴金属などの財産です。また、以下のようなケースは「みなし贈与」という扱いで、贈与税の課税対象になる場合があります。
・掛金を負担していない生命保険の保険金を受け取った
・著しく低い価額の対価で財産を譲り受けた
・借金を肩代わりしてもらった
・無利息での金銭の借り入れ
・実質的に贈与であるにもかかわらず形式上貸借としている

贈与税がかからないもの

形式上は贈与にあてはまる場合でも、生活費や教育に充てるために取得した財産で通常必要と認められる費用、家族などの扶養義務者からの生活費・教育費で通常必要と認められる費用には贈与税がかかりません。さらに、以下のような財産も贈与税の対象にはなりません。

・法人から贈与されて取得した財産
・選挙運動のため選挙候補者が受け取る金品
・一定の特定公益信託(奨学金など)
・心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利

贈与税の課税方法


贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つに大別されます。
贈与を受けた人はどちらかを選択して税金を納めることになりますが、暦年課税と相続時精算課税にはどのような違いがあるのでしょうか。

それぞれの課税方法の仕組みや税率・税額などについて、詳しく見ていきましょう。

暦年課税

1月1日から12月31日までの1年間に発生した贈与に対する課税が、暦年課税です。
受け取った財産の合計が基礎控除額である110万円を超えた場合に課税されます。
1年間に複数人から贈与を受けた場合でも、合計が110万円を超えたら課税の対象になります。

18歳以上の人が直系尊属(父母、祖父母など)の贈与者から受けた贈与は「特例贈与」となり、それ以外の場合は「一般贈与」となります。
なお、一般贈与と特例贈与では税率適用区分と控除額が異なります。

暦年課税の税率

◎一般贈与の場合
基礎控除後の課税価格 税率  控除額 
 200万円以下  10%  なし
 200万円超300万円以下  15%  10万円
 300万円超400万円以下
 20%  25万円
400万円超600万円以下  30%  65万円
 600万円超1,000万円以下  40%  125万円
1,000万円超1,500万円以下   45%  175万円
1,500万円超3,000万円以下   50%  250万円
 3,000万円超  55%  400万円


◎特例贈与の場合
 基礎控除後の課税価格 税率  控除額 
 200万円以下  10%  なし
 200万円超400万円以下  15%  10万円
 400万円超600万円以下  20%  30万円
 600万円超1,000万円以下  30%  90万円
 1,000万円超1,500万円以下  40%  190万円
 1,500万円超3,000万円以下  45%  265万円
 3,000万円超4,500万円以下   50%  415万円
 4,500万円超  55%  640万円
    

暦年課税の税額計算

暦年課税の贈与税の金額は、「基礎控除後の課税価格×税率-控除額」で算出できます。
たとえば妻が夫から500万円の贈与を受けた場合は一般贈与にあたり、贈与税は以下の計算式で割り出されます。

・基礎控除後の課税価格:500万円-110万円=390万円
・贈与税額の計算:390万円×20%-25万円=53万円

一方で、祖父から20歳の人が500万円の贈与を受けた場合は特例贈与にあたり、以下の計算式になります。

・基礎控除後の課税価格:500万円-110万円=390万円
・贈与税額:390万円×15%-10万円=48万5000円

相続時精算課税

60歳以上の父母または祖父母などが、18歳以上の推定相続人である子どもや孫などに財産を贈与した場合に選択できる制度が「相続時精算課税」です。
贈与者1人あたり最大2,500万円の特別控除額が設けられていて、2,500万円を超えた部分は一律20%が課税される仕組みです。
くわえて、2024年1月1日以降の贈与は特別控除額2,500万円とは別に、年間110万円の基礎控除額が控除されます。

ただし、相続時精算課税を選択した場合には、暦年課税に戻すことができない点にはご注意ください。

贈与税に関する控除・特例


贈与税では、暦年課税でも相続時精算課税でも一定の控除額が設けられていますが、他にも様々な控除や特例があります。
これらの制度を適切に活用することで、納税の負担を大きく軽減することが可能です。

こちらでは、贈与税で設けられている控除や特例について、代表的な例を取り上げて解説していきます。

配偶者控除

配偶者控除は、婚姻の期間が20年以上の夫婦を対象にした控除です。
居住用不動産あるいは居住用不動産を取得するための資金を贈与した場合、2,000万円の贈与税の配偶者控除と110万円の基礎控除を合わせ、2,110万円までは贈与税がかかりません。

適用条件は、贈与を受けた年の翌年3月15日までその居住用不動産に住み、引き続き住む見込みがあることです。
さらに、贈与税の課税の有無を問わず申告書の提出なども必要です。

教育資金の一括贈与の特例

もともと教育費用で通常必要と認められるものは贈与税の非課税対象ですが、「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税」という制度もあります。
30歳未満の人が直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母など)から教育資金の贈与を受けた場合、受贈者1人あたり最大で1,500万円までが非課税となる仕組みです。

教育資金贈与の対象は、学校の入学金や授業料、施設設備費、給食費、遠足費などが含まれます。これとは別に、進学塾、水泳、英会話などの習い事に支払う教育資金についても500万円まで適用されます。

結婚・子育て資金の一括贈与の特例

18歳以上50歳未満の人が、結婚・子育て資金として金銭を受け取る際に適用されるのが、「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税」です。

非課税が適用されるのは、教育資金の特例と同様に直系尊属(父母・祖父母・曾祖父母など)からの贈与です。
金融機関を通して非課税申告書の提出などをすることで、贈与財産のち1,000万円までは非課税になります。

住宅取得等資金の贈与税の特例

新築・中古住宅の取得または増改築の費用として父母・祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に、贈与額の一部が非課税になります。
これは「住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税」という制度で、非課税限度額は省エネ等住宅の場合1,000万円、それ以外の住宅は500万円です。

贈与時の注意点

税金が発生する贈与という行為は、手続きやルールを知らない状態で進めてしまうと、後から重大なトラブルが発生する可能性があります。

贈与の当事者になった際に知っておくべき点、注意しなければならない点について解説しますので、将来的に贈与をする側やされる側になる可能性がある場合は参考にしてください。

贈与の手続きは記録しておく

贈与は、贈与者と受贈者の双方の合意があれば契約書などを作成しなくても成立します。しかし、贈与の実施後に税務署による税務調査を受ける可能性があり、その場合は贈与した事実を説明できないと不利益を被る恐れがあります。そうならないためにも、「いつ・何を・誰に贈与したのか」といった記録を残したり、贈与契約書を作成したりしておくようにすることが重要です。

要件や申告の必要性を確認

相続時精算課税を選択する場合は、適用の条件をクリアした上で期限内に一定の書類を税務署へ提出しなければなりません。
また、非課税の各種特例の適用を受ける場合も、適用の要件があったり、申告・手続きをする必要性があったりするため、注意が必要です。

申告時に不備があると控除が受けられない可能性も出てくるので、自分で対応することが心配であれば、贈与や相続に詳しい専門家にアドバイスを求めたり手続きを依頼したりするといいでしょう。

まとめ

贈与税の税額は、単純に金額だけではなく贈与者と受贈者の関係によっても大きく変動します。さらには、課税の方式や特例の有無などによっても変動するので、贈与を行うのであれば前もって確認しておくことが大切です。
また、暦年課税により贈与を実行した後に、一定期間の間に贈与者に相続が発生した場合には、相続財産に持ち戻されたり、申告の期限を過ぎるとペナルティが発生し、より多くの税金を納めなくてはならない可能性も生じたりします。

このように贈与は複雑な場合があり、税に関する専門知識がないと理解するのに骨が折れます。生前贈与を検討している方は、早いうちに贈与や相続の分野に強い専門家に相談することをお勧めします。

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贈与税と相続税で納める税金の額が異なるのであれば、負担が少ない方を選択したいというのが自然な考えと言えるでしょう。

では、贈与税と相続税にはどのような違いがあるのでしょうか。
この記事では、財産の受け渡しを検討している方に向けて、贈与税と相続税の基本的な仕組みや、それぞれの税率・基礎控除額・特例などの比較、覚えておきたい制度などについて解説していきます。


贈与税と相続税の概要


財産を他者に贈与するまたは相続させると、それぞれ贈与税と相続税が発生する可能性があります。
性質としては似ているように感じる贈与税と相続税ですが、実際は異なる部分も数多くあります。

それでは、まず贈与税と相続税の基本的な仕組みについて、それぞれ見ていきましょう。

いずれも財産を受け取る側にかかる税金

贈与税は財産の贈与を受けたときに、相続税は遺産相続が発生したときにかかる税金です。
贈与税も相続税も、所有している財産を渡す側ではなく受け取る側に課税されることが共通点です。

贈与税も相続税も財産の金額によって税率が変動し、財産額が大きくなると税額も増えます。
ただし、いずれの税金にも各種控除や非課税制度等があり、贈与財産や遺産の金額がこれらの金額を上回っていなければ税金はかからない仕組みです。

贈与税の課税対象

贈与税は、個人から何かしらの財産をもらった際に課税されます。財産とは、現金や預貯金、株式などの金融商品、土地・建物などの不動産、車など多くのものが対象範囲です。さらには、保険会社から受け取る保険金、負債の肩代わり、無利子や極めて低い金利での金銭の借り入れなどによって得た利益についても贈与税の課税対象となります。

相続税の課税対象

贈与税と同じように、現預金や金融商品、書画骨董、不動産といった財産が相続税の課税対象です。また、死亡保険金、死亡退職金などの「みなし相続財産」も同様に課税されます。税を支払うことになるのは、被相続人(亡くなった人)から財産を受け取った相続人で、相続人は主に被相続人の配偶者や子、孫といった親族です。

2024年1月に贈与と相続に関する税制が変更

「令和5年度 税制改正」により、2024年1月1日から贈与や相続に関する課税のルールが大きく見直されました。

では、具体的にどのように変わったのでしょうか。2023年までと2024年からの制度の違いについて、確認していきましょう。

2023年までの生前贈与加算

贈与税には「暦年課税」という制度があります。暦年課税とは1年間に贈与された合計額に対して課税される制度で、1人あたり年間110万円の基礎控除があり、年間で受けた贈与が110万円以下であれば贈与税を申告する必要がありません。

しかし、相続開始前3年以内、つまり被相続人が死亡日以前の3年間に贈与した財産については、年間110万円以下であっても相続財産への持ち戻しが行われ、相続財産に加算して相続税が計算されます。
この仕組みを「生前贈与加算」と言い、2023年まではこれが適用されていました。

2024年からの生前贈与加算

2024年1月1日から、暦年課税による生前贈与加算の対象期間が変わりました。
2023年までは3年間だった期間が2024年から徐々に延長され、2031年には7年間となります。

つまり、毎年110万円以下の贈与で相続税の対策をしていたとしても、8年以上続けなければ効果を得られなくなるため要注意です。
ただし、延長された4年間に受けた贈与については、合計額から100万円が控除されます。

贈与税と相続税の違い



贈与や相続による財産の授受により贈与税や相続税が発生することになりますが、当事者として気になるのは、どちらがより多くの税金を払うのかという点ではないでしょうか。

そこで知っておきたいのが、税率と基礎控除額、特例制度です。これらによって納めるべき税金の額は変わります。
それでは、贈与税と相続税のそれぞれの税率、基礎控除額、特例制度を確認していきましょう。

税率表

◎贈与税の税率
贈与税の税率には、「一般税率」「特例税率」の2種類があります。

贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の人が、親や祖父母など直系尊属から財産を贈与された場合に、特例税率が適用されます。
一般税率は、それ以外の贈与の場合です。

<贈与税の税率>
・一般贈与の場合

基礎控除後の課税価格
税率   控除額
 200万円以下 10%  なし
 300万円以下 15% 10万円
 400万円以下 20% 25万円
 600万円以下 30% 65万円
 1,000万円以下 40%  125万円
 1,500万円以下 45% 175万円
 3,000万円以下 50% 250万円
 3,000万円超 55% 400万円


・特例贈与の場合
 基礎控除後の課税価格  税率 控除額 
 200万円以下 10% なし
 400万円以下 15% 10万円
 600万円以下 20% 30万円
 1,000万円以下 30%  90万円 
 1,500万円以下 40% 190万円 
 3,000万円以下 45%  265万円 
 4,500万円以下 50%  415万円 
 4,500万円超 55% 640万円 

◎相続税の税率
相続税は、あらゆる相続によって取得した財産を合計した額にかかる税金です。
現金や預貯金、株式などの有価証券、不動産など相続財産の合計から、被相続人の借入金などマイナスの財産、さらにはお葬式の費用などを差し引いた金額が、相続税の課税価格となります。

その課税価格から基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を差し引いた金額が、相続税の課税遺産の総額となります。相続税の税率は、以下の通りです。

<相続税の速算表>
法定相続分に応ずる取得金額   税率 控除額 
 1,000万円以下  10% なし
 1,000万円超3,000万円以下  15% 50万円 
 3,000万円超5,000万円以下  20% 200万円
 5,000万円超1億円以下  30% 700万円
 1億円超2億円以下  40% 1,700万円 
 2億円超3億円以下  45% 2,700万円
 3億円超6億円以下  50% 4,200万円
 6億円以下  55% 7,200万円 
 
上記の通り、贈与税と相続税の税率を単純に比較した場合、同じ財産であれば贈与税の方が相続税よりも税率が高いことがわかります。

基礎控除額

◎贈与税の場合
贈与税は年間で110万円の基礎控除があります。これは、1年間に受け取った財産の合計が110万円を超えた場合に課税される仕組みで、複数人からの贈与の合計が110万円を超えても課税されます。
1年間に贈与を受けた財産の合計が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
◎相続税の場合
相続税はすべての相続でかかるわけではなく、相続した財産の相続税評価額の合計から基礎控除額を差し引いた額等がプラスになった人にのみ、申告・納付の義務が生じます。
基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で、法定相続人が1人であれば基礎控除額は3,600万円、2人なら4,200万円となります。

このように、法定相続人の数が多いほど基礎控除額は大きくなる仕組みです。

特例制度

◎贈与税の場合
贈与税には、税額が減額される特例がいくつかあります。たとえば「配偶者控除」は、婚姻の期間が20年以上の夫婦を対象にした控除です。
居住用不動産または居住用不動産を取得するための資金を配偶者に贈与した場合、2,000万円の贈与税の配偶者控除と110万円の基礎控除の合計額2,110万円までは、税金がかかりません。

また、教育資金について受贈者1人あたり最大で1,500万円まで非課税になる特例や、結婚・子育て資金の贈与に関して1,000万円まで非課税となる特例もあります。
◎相続税の場合
配偶者が遺産を相続する場合、基礎控除に加えて配偶者控除の特例も適用されます。
具体的には、「相続した遺産の総額が1億6,000万円」もしくは「配偶者の法定相続分」の、いずれか大きい方があてはまります。

たとえば、相続人が1人で、相続財産全体の評価額が1億5,000万円の場合。基礎控除額は3,600万円であるため、本来は相続税が発生します。

しかし、相続人が配偶者であれば1億6,000万円の配偶者控除が適用されるため、相続税は課されません。
また、土地の相続に関し、一定要件を満たす土地であれば相続税の課税価格を最大80%減額できる小規模宅地等の特例も活用できます。

暦年贈与の贈与税と相続税の税額比較

暦年贈与とは、1月1日から12月31日までの1年間(暦年)において、基礎控除額である110万円以下の贈与であれば贈与税が非課税になるルールを用いた贈与方法です。
暦年贈与を活用して生前贈与をすれば、贈与税に課税される財産を減らす効果が期待できます。

では、暦年贈与の贈与税と相続税では、税額にどの程度の違いが生まれるのでしょうか。

贈与税と相続税の金額を比較するために、財産5,000万円を子2人に生前贈与または相続する場合を例に計算します。

贈与税額の算出

財産5,000万円を子2人に生前贈与する場合、子はそれぞれ2,500万円ずつ受け取ることになります。特例税率が適用される場合、贈与税は下記の通りとなります。

課税財産:2,500万円-110万円(基礎控除)= 2,390万円
贈与税額:2,390万円×45%-265万円(控除) = 810.5万円

つまり、子1人に課税される贈与税は810.5万円となります。

相続税額の算出

法定相続人が2人の場合、基礎控除の額は4,200万円(3,000万円+600万円×法定相続人の人数)です。

課税財産:5,000万円-4,200万円(基礎控除)= 800万円
相続税額:800万円÷2 = 400万円
相続税の場合、子1人に課される税額は、400万円×10%で40万円となります。

どちらの税額が大きいかは一概には言えない

上記の例の場合、贈与税が810万円、相続税が40万円と税額に大きな違いがあります。そのため、贈与税の方が多くの税を払うように見えるかもしれません。

ただ、これはあくまで一例であり、財産の種類や渡す人と受け取る人の関係によって控除に適用できる特例制度は変わります。
そのため、どちらの税額が大きいかを一概に言うことはできません。

贈与税と相続税を通算できる制度がある


暦年課税では年間110万円以下の贈与は非課税ですが、その反面、一度に多額の贈与をすると贈与税が課税されます。
しかし、相続が発生した際に「相続時精算課税制度」という仕組みを利用することで、子や孫に円滑に財産を渡すことが可能です。

では、この相続時精算課税制度についての概要や利用できる条件などを見ていきましょう。

相続時精算課税制度とは?

生前贈与をする場合、2,500万円までは贈与税が課されないという制度です。
なお、贈与額が累計で2,500万円を超えた場合は、超えた部分の額の20%を贈与税として納めることになります。

ただ、その贈与税は相続時に相続税額から差し引かれ、相続税額が少ないと差額が還付されます。さらに税制改正により、2024年から新たに年間110万円の基礎控除枠が設けられました。
この変更により、相続時精算課税では毎年110万円までは贈与税の申告が不要です。
さらに、暦年贈与の場合と異なり、基礎控除額については相続財産に加算する必要もないため、贈与税も相続税もかかりません。

相続時精算課税制度を利用する条件

相続時精算課税制度を適用するには、条件があります。
適用対象となるのは、60歳以上の親または祖父母などから、推定相続人である18歳以上の子や孫などへの贈与です。

また、相続時精算課税は一度選択すると暦年贈与に変更することはできません。税制改正により相続時精算課税制度の活用が盛んになる可能性がありますが、どの制度が有利か判断することは難しいと言えます。
そのため、悩んだときには相続の分野に強いプロフェッショナルに相談することが重要です。

まとめ

親族間の財産の受け渡しの際には、贈与税と相続税の問題が浮上します。
各家庭の財産状況や家族構成などによって税率や控除、適用できる特例などは異なります。

そのため、自分に適した贈与の方法を選択するためには、贈与税と相続税に関する仕組みの理解を深めることが必要です。

贈与税や相続税は、今後の税制改正により課税強化されていくことが予測されており、安易に贈与を実行した結果、相続発生時には財産に持ち戻されることもありますし、将来に禍根を残すこともあります。
従って、全体を俯瞰して、目的に沿って実行計画を立てることも重要になってきます。ただ、専門知識が不十分な場合、何をどうすればいいのかわからないかもしれません。
そのようなときには、税金や相続に関する問題の専門家に相談してアドバイスを受けたり、手続きを依頼したりすると、自分にとってより良い結果を得られるでしょう。

青山財産ネットワークスの特徴

青山財産ネットワークスでは、税理士、司法書士など、国家資格を有する専門家が 150 名以上在籍し、30 年以上の豊富な実績に基づき、お客様のご希望に沿って、資産の管理・運用・相続に関するさまざまなご提案をしております。
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監修者

       青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
  青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
-1級ファイナンシャル・プランニング技能士
-シニア・プライベートバンカー
-公認不動産コンサルティングマスター
-宅地建物取引士
・経歴
不動産や信託の活用を軸とした永続型の財産承継コンサルティングを現場の最前線で行っている。節税目的の相続対策に警鐘を鳴らし、「財産全体が最適」となる承継・管理・運用を土台とするファミリーコンサルティングを幅広く手掛ける。ナレッジを集約した書籍を発行。セミナー登壇実績多数。YouTubeにて動画コンテンツも配信中。

・著書
青山財産ネットワークスの30年に渡るノウハウをまとめた『「5つの視点」で資産と想いを遺す~人生100年時代の相続対策』を執筆。2021年(11月15日-11月21日)紀伊国屋書店新宿本店 ビジネス書ランキング 第1位

※役職名、内容等は2024年2月時点のものです。

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