黒字経営なのに後継者の不在で廃業危機。人気飲食店が「M&A」で会社の存続と財産を守る

2025.09.11
企業オーナー M&A

中小企業庁によると、日本の中小企業の約半数近くが後継者不足に悩まされているといいます。子がいなかったり、子がいても継ぐ意思がなかったりなど親族間で事業承継できる者がいないうえに、社内にも適任者がいないなど人材不足が加速しているのです。

そういった場合の選択肢として、第三者承継としてのM&A(Mergers and Acquisitions:企業の合併・買収)もしくは廃業という道があります。今回は、M&Aを選択された企業の事例をご紹介致します。

ご状況
業種 飲食業
お住まい 東京都内
売上高 5億円
課題 ・高齢で健康に不安があり早期に事業承継をしたいが、後継者がいない
・事業承継後の相続対策
提案 ・M&A支援
・財産コンサルティング

ご相談時の状況

都内に4店舗展開し、半世紀近く続いている人気の飲食店。このB社を、現在70代のA様が一代で築き上げてきました。繁盛し、ほぼ無借金の黒字企業ですが、B社も事業承継の課題と無縁ではありませんでした。

ご子息様は企業勤めの40代。すでに安定したキャリアを築いており、家業を継ぐ意思はありません。また、A様も子どもの適性などを考えると無理強いする気持ちもありませんでした。しかし、社内に後継者候補となる人材は見当たらず、A様ご自身も体調に不安を覚えるようになっていました。

「長年続けてきた店をこのまま終わらせてしまうのは惜しい。従業員の雇用も守りたい」という強い思いがある一方で、自身の健康状態を考えると、早急に事業承継の道を探る必要に迫られていました。

そんな折、取引のある金融機関から当社を紹介されたといいます。当初、A様はM&Aという選択肢に若干の不安を抱いていました。

お悩み

当社では、事業承継に関わるコンサルティングを数多く手がけています。親族もしくは社内での承継、M&A、廃業、これらのサポートを普段から実務で行なっており、お客様がどの選択をされても支援が可能です。決してM&Aありきではなく、まずはお客様の現状と希望を詳細に把握したうえでご提案させていただいております。

A様についても、ご意向を詳細にヒアリングして事業承継の現状を洗い出した結果、廃業を避けるためには第三者承継としてのM&Aという選択肢にたどり着きました。

当社の対応とその結果

まず、当社で行ったのは、M&Aの目的を明確にすること。B社の場合は、3つありました。

飲食事業に精通している成長企業に引き継いでもらい、更なる発展を目指すこと。そして、大切な従業員の雇用を守ること。さらに半年から1年程度の短期間で事業承継を完了させることでした。

当社は、B社の老舗としてのブランド力、長年の顧客基盤、そして黒字経営という強みを丁寧に分析し、買い手候補を50社ほどリストアップしました。その範囲は同業にとどまらず、多角的な事業展開を行う企業も視野に入れています。

結果、最終的に3社の企業がB社への関心を示しました。その中で、レストラン経営だけでなく、ホテルやレジャー事業など多岐にわたる事業を手がけるC社にA様は関心を寄せられました。

C社は、A様のお店のブランド力と従業員のプロフェッショナル性を高く評価し、全従業員の雇用維持を約束。さらに、店舗展開の計画も示唆するなど、事業の更なる発展にも意欲的な姿勢を見せました。

C社の経営理念や将来性、そして何より、A様とのお打ち合わせの前に競合の店を数十店舗も視察したというC社社長の熱意と人柄に、A様は深く共感し、長年の想いを託す決断をされたのです。

まず、M&Aを進めるにあたり、A様のご希望を最大限尊重し、全従業員の雇用と条件の確保など、対価以外の重要な条件について丁寧に交渉を進めました。
その上で、A様が長年にわたり築いてこられたB社の企業価値を適正に評価し、双方にとって納得のいく譲渡条件となるよう尽力しました。

その結果、A様がご希望された条件を満たしたうえで、希望額通りの対価で売却することができました。当社を信頼していただき、手続きを一任いただいたことで、初回のご相談から約半年という短期間でM&Aを成功裏に完了しました。

資本関係図の変化

その後――。C社はお店をさらに繁盛させ、店舗を増やしています。

無事、M&Aを成功させたA様ですが、事業承継をしたらそれですべて解決したわけではありません。M&Aによりまとまった資金を得たA様は、相続対策も検討する必要がありました。

当社では、M&A支援だけでなく、財産コンサルティングまで一貫したサポートが可能です。今回も、A様の老後の生活設計や相続のご希望を踏まえ、資金の効率的な運用方法や相続対策について、プランをご提案しました。M&Aに際しても、将来の相続を見据えて退職金や株主譲渡金額の按分を算出しています。

解決のポイント

A様のケースにおける解決のポイントは、事業承継と財産承継を包括的に捉えたコンサルティング、売り手と買い手の希望を綿密に理解して最適なマッチングを実現したこと、そしてM&Aの前後を途切れることなくサポートするワンストップサービスを提供したことにあると考えています。

M&Aはあくまで手段であり、最終目的は、A様とそのご家族の将来にわたる安心を実現することです。企業のマッチングだけなら専門のコンサルティング会社もたくさんあるでしょう。ただ、ご家族の大切な財産を守るためには、M&Aの前後でさまざまな知見から適切なサポートをすることが必要となります。それができるのが、財産コンサルティングを専門とする当社の強みだと考えています。

当社は、今後もお客様一人ひとりの状況や希望に寄り添い、最適な解決策を提供できるよう努めてまいります。

平野 雄太Hirano Yuta
コンサルティング事業本部 第二事業部 第一グループ グループ長

金融機関出身。日本M&Aセンターへの出向後、M&A専門部署の立ち上げと案件対応に従事。オーナー経営者の想いを重視した事業承継支援を志し当社入社。入社後は、日本M&AセンターHDとの合弁会社「事業承継ナビゲーター(現:ネクストナビ)」設立に参画。現在は、オーナー経営者向けの事業承継・M&Aコンサルティング業務に従事。

専門分野
M&A
平野 雄太

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