2022.10.21
財産運用
事業用不動産とは?
購入・売却それぞれのメリットや成功させるための観点を解説


「事業用不動産」とは、オフィスや店舗、製造拠点などの事業を営むうえで欠かすことができない重要な不動産を指します。近年、CRE戦略への注目が集まると同時に、事業用不動産の活用についても関心が高まっています。

この記事では、事業用不動産の概念から企業にとっての不動産活用の意義、事業用不動産を取得または売却するメリット・デメリットなどについて、詳しく解説します。

また、不動産の売買や財産承継、事業承継、M&A、資産運用などの相談をお考えの方は、ぜひ当社へのご相談をご検討ください。

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事業用不動産とは

事業用不動産に求められる役割は、事業運営に良い影響をもたらし、可能な限り多くの収益を得て経営を底上げすることです。不動産を所有し、活用することで成果を得るためには、不動産市場の動向を見極めたうえで綿密に戦略を立て、実行していくことが重要です。

事業用不動産の概念

事業用不動産とは、事務所ビルや店舗、マンションなどの事業運営に使用される不動産であり、収益を得ることを目的とした不動産のことです。企業が所有するオフィスビルなどに限らず、個人が投資用に所有する不動産も含まれます。ただし、所有者自身が居住のために所有する住宅は当てはまりません。
事業用不動産の価格や賃料は、将来的に獲得することが期待される収益に基づき、市場の競争原理によって決まります。

事業用の物件や土地

代表的な事業用不動産としては、企業が事務所として所有するビルや店舗、テナントに貸し出すビル、ホテルなどの宿泊施設といった不動産が挙げられ、一般的に商業系の事業用不動産と呼ばれています。また、企業が各種製品を製造する工場や研究開発を行う研究所、さらには倉庫などに利用される事業用地、駐車場といった土地も事業用不動産という扱いとなります。

投資用不動産

居住するための不動産であったとしても、賃貸事業用に第三者に賃貸している不動産であれば事業用不動産として扱われます。主な例としては、賃貸マンションやアパート、投資用戸建て、リゾート施設といった物件です。部屋単位で購入する区分マンション、建物を丸ごと購入する一棟マンションも対象となります。

事業用不動産のCRE戦略


企業は、取引先や株主といったステークホルダーから企業価値の向上を期待されています。企業価値を高める手法としては収益性の向上や財務状況の改善などが挙げられますが、自社で保有している不動産の有効活用も重要なポイントです。近年では、経営戦略の観点から保有資産を有効活用し、企業価値の向上を図るCRE戦略が重要視されるようになってきました。こちらでは、CRE戦略の概念から、具体的なCRE戦略の実施例についてご紹介していきます。

事業用不動産とCRE戦略

CREとは「Corporate Real Estate」の頭文字を取った言葉です。日本語では、企業が保有している不動産、つまり事業用不動産のことを指します。CRE戦略は、国土交通省によると「企業不動産について、『企業価値向上』の観点から経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させていこうという考え方を示すもの」と定義されています。
事業用不動産を活用することで事業の収益性を向上させるという点において、事業用不動産とCRE戦略は非常に関連性が高いと言えます。CRE戦略の重要性に注目が集まり、現在では自社で保有する不動産の有効活用に積極的に取り組む企業が増えています。

投資を目的に取得する

自社の従業員が働く事業拠点としてではなく、投資を目的に不動産を取得することはCRE戦略の手法の一つです。投資用マンションやテナントビルを購入し、その物件を個人や企業に貸し出すことで賃料を得ます。物件が常に入居者で埋まっていれば、将来にわたって安定的な収益を獲得し続けることが可能です。

事業拡大のために取得する

新たなオフィスや自社ビル、工場などの不動産を新築・購入して、さらなる事業拡大に弾みをつけるという考えもあります。また、現在はオフィスを借りており、移転などで拠点を変える予定がない場合は、自社ビルを丸ごと購入する、あるいはフロアを区分所有するというアプローチもあります。将来的に払い続ける賃料よりも、自社で購入した方が、長い目で見て財務面での負担が少ない可能性があるためです。

収益を得るために賃貸する

自社ビルの空きフロアなど、すでに保有している物件に余剰スペースがある場合は、余剰スペースを賃貸物件として活用することが可能です。本業に加えて、賃料収入という新たな収益の柱を作ることができます。ただし、オフィスの状態によっては賃貸オフィスへのリノベーションが必要となる場合があります。

経営をスリム化するために売却する

建物の老朽化などで長年にわたって使われていない遊休不動産は、資産効率を低下させる原因となり、保有し続けることでコストがかかります。しかし、売却して得た資金は、本業の強化や新規事業の立ち上げに向けた投資に補完することができます。さらに、経営状態が厳しい場合の資金繰りの改善にも活用できるでしょう。このように、保有コストが経営の負担となっていた不動産を売却することで、経営への良い影響が期待できます。

事業用不動産を取得するメリット

収益を得るために利用・保有される事業用不動産は、企業が事業を続けていくために必要なだけではなく、プラスアルファの利益をもたらしてくれます。特に、オフィスビルや店舗などの商業系物件は、マンション・アパートといった住居系物件よりも高い収益が得られる可能性が高く、投資家からも注目を集めています。こちらでは、事業用不動産を取得することで得られるメリットについて、詳しく見ていきます。

長期にわたり安定収入が期待できる

オフィスビルや店舗などの商業系物件は、テナントの営業拠点として利用されることになります。借り手である事業者は、基本的に長期にわたって入居し続けることが多く、貸し出す側にとって安定した収入が期待できるのは、大きなメリットと言えます。さらに、経営状況が良い事業者に賃貸することができれば、将来の安定収益を得る見込みが立ちます。

商業系の不動産は収益性が高い

商業系物件は、テナント側の見方として、建物の築年数よりも立地が重視される傾向があります。そのため、駅前や人通りが多いといった魅力のある物件は、高い賃料を設定したとしても入居を希望する事業者が集まりやすいという特徴があります。さらに、人が集まる良い立地であれば、将来的な都市計画で周辺地域がさらに賑わう可能性があります。結果として、物件の資産価値の向上につながり、賃料アップも期待できるでしょう。

不動産という実物の資産が残る

事業用不動産は所有者の資産であり、所有者の信用度を測る一つの指標となります。また、金融機関から融資を受ける際、不動産を担保として提供することも可能です。事業用不動産をローンで購入する際、金利が比較的低く設定され、審査も通りやすいという特徴があります。
企業ではなく個人が所有者の場合、万が一のことが起きた際に、家族に資産として残すこともできます。

事業用不動産の取得で生じるデメリット

事業用不動産は、さらなる事業拡大や賃貸での運用などにより、所有者にメリットをもたらしてくれます。しかし、取得して得られるのは必ずしも良い結果ばかりではありません。社会情勢の変化などで想定していた通りに物事が運ばなかった場合、資産価値が下落したり、期待していた収益が得られなかったりする場合があります。どのようなデメリットがあるか、把握したうえで取得するかどうかの判断をすることが重要です。

購入には多額の費用が必要となる

事業用不動産は不動産としての規模が大きいため、購入には数億円単位という多額の資金が必要となります。さらに、繁華街にある、駅から近いなどの条件を設定した場合、価格はさらに高くなるでしょう。手元に資金がなければ金融機関から借りることになるため、将来的に投資した金額以上の利益を得ることができるかどうか、慎重に検討しなければなりません。

物件の資産価値が低下する可能性がある

不動産の価値は、景気の良し悪しなど社会情勢によって変動します。すぐに手元資金が必要な状況において、所有している不動産を売却して資金を用意することを検討した際に、評価額が購入時よりも低くなっていれば不動産の売買による収支はマイナスです。事業用不動産の購入に踏み切る際は、物件の価値が下がるリスクがあることを念頭に置く必要があります。

維持・管理にコストがかかる

どのような建物も、年月が経つにつれて劣化します。そのため、日々のメンテナンスや計画的な修繕は必須です。オフィスビルなどを所有することで、施設や設備の維持・管理にかかるコストを所有者が負担しなければなりません。所有する不動産の規模が大きいほど、コストも増加する点に注意が必要です。また、設備が老朽化して大規模な修繕が余儀なくされる場合は、より多くの資金が必要となります。

事業用不動産を売却するという考え方


事業用不動産は、購入・活用するだけでなく、売却するという考え方もあります。遊休地や赤字の投資用物件など収益性の低い事業用不動産を売却することで身軽になり、施設の維持・管理にかかっていた費用や人的コストも軽減することができます。このように、事業用不動産の購入ではなく、売却という手段も選択肢の一つとなります。

売却することで得られるメリット

収益性の低かった事業用不動産も、売却することで現金化し、借入金の返済や、事業の運転資金に充てることができます。さらに、オフバランス化や不動産の維持・管理に費やすコストの削減にもつながります。また、売却により得た資金を活用して、より高い収益が期待できる事業用不動産に新たに投資するという選択肢も生まれます。

売却時にかかる費用

不動産を売却することで利益を得られますが、同時に費用もかかります。売却益がある場合、個人では譲渡所得税を、法人では法人税や法人住民税、法人事業税、地方法人税などを納める必要があり、それらに加えて印紙税や消費税もかかります。さらに、不動産会社に売却の仲介を依頼した場合は、仲介手数料も必要です。このように、売却にもさまざまな費用がかかることは念頭に置いておきましょう。

事業用不動産への投資を成功させるコツ

事業用不動産を取得・利用することは、不動産を通じて将来に安定した収益を得るための投資でもあります。リターンが大きい反面、取得には多額の資金が必要となり、リスクも大きいと言えるでしょう。投資を成功させるためには、時間をかけて調査や分析を行い、慎重に判断を下す必要があります。

綿密な事前調査や収支計画書の作成

物件を他者に賃貸する、あるいは将来的に売却することが前提の場合、その物件が安定的に収益を生み出すかどうか、価値が下がらないかなど、投資に見合うか否かを見極める必要があります。賃貸を想定して取得しても、その物件に魅力がなければテナントは見つかりません。立地や周囲の環境によって人の流れは異なり、物件にふさわしいテナントの業種も異なります。候補地について、時間をかけて事前調査を行うことが重要です。
また、不動産投資を実施するにあたり欠かせないのが収支計画書の作成です。物件を運用する場合、想定される収入と支出を細かく洗い出し、収益を確保するための数値を試算します。収支計画書の作成にあたっては、希望的観測ではなく、現実的な数値を設定してシミュレーションを行いましょう。

専門家の協力を仰ぐ

事業用不動産を購入するにあたり、物件の調査やローンの審査、売買契約、管理会社の選定などのプロセスを経ることになります。専門的な知識を持っていない場合は、何から始めるべきか迷うかもしれません。スムーズに不動産を購入するには、事業用不動産の売買などに精通した専門家を頼るという選択肢も視野に入れておきましょう。
青山財産ネットワークスでは、不動産の購入・売却それぞれのコンサルティングサービスを提供しており、ニーズのヒアリングから物件情報の収集、物件の資産価値調査、物件の選定や売却先(買い手)候補との交渉および売却の提案、契約とその後のフォローまでサポートしています。また、土地有効活用のコンサルティングも手掛けており、その土地に最適な活用方法を提案することも可能です。




 

まとめ

事業用不動産の中でも、オフィスや店舗など事業者に対する賃貸を目的とした不動産は高い収益が期待できることから、投資対象として魅力的です。また、新たなオフィスや自社ビル、工場といった不動産の取得や活用も事業拡大や事業継続には欠かせません。

しかし、事業用不動産は予算の規模が大きく、維持・管理などにも費用がかかるため、将来的な収益を考慮し、綿密に計画を立てたうえで事業用不動産の購入を進めていくことが重要です。また、経営をスリム化するために売却を検討するという選択もあるでしょう。

事業用不動産の価値は社会状況などの影響を受けるうえ売買の流れは複雑であるため、注意すべき点は少なくありません。購入や売却を検討される際は、事業用不動産の取引や運用などの実績を持つ専門家の力を借りることもぜひ検討してください。

青山財産ネットワークスの特徴

青山財産ネットワークスでは、税理士、司法書士など、国家資格を有する専門家が150名以上在籍し、30年以上の豊富な実績に基づき、お客様やご一族にとって最適な財産構成を実現する総合財産コンサルティングを提供しています。その一環として、お客様のニーズに合わせ、事業用不動産のコンサルティングサービスをご提供しています。

お客様の大切な資産の1つである不動産について、購入から保有、売却、アフターフォーローまでのトータルサポートを行っています。

お客様の目標達成に向け、市場や物件の状況を総合的に判断し、お客様にとって最大の価値を見出せるよう一気通貫でご支援する体制が整っているため、お客様のニーズにお応えすることが可能です。

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