2023.02.01
財産運用
相続した土地を売却する際に気を付けるべきことは?
売却時の注意点や相談先も紹介


相続した土地を売却したいとお考えの方は少なくありません。ただし、複数の相続人がいる場合は、自身の独断で売却することはできません。また、もともと自身が所有する物件と売却の流れが異なる点にも注意が必要です。土地売却をスムーズに進めるためには、不動産会社やコンサルティング会社などに相談することも効果的な方法と言えます。

この記事では、相続した土地を売却する際の注意点、相談先まで詳しく解説します。

また、不動産の売買や財産承継、事業承継、M&A、資産運用などの相談をお考えの方は、ぜひ当社へのご相談をご検討ください。

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土地を相続した際の選択肢

相続する土地には、大きく分けて以下の5つがあります。それぞれの活用方法について、詳しく見ていきます。

宅地(居住用として使用されていたもの)
宅地(事業用として使用されていたもの)
宅地(事業に活用されている土地)
活用されていない土地(遊休不動産)
農地(生産緑地等)

宅地(居住用として使用されていたもの)

被相続人の実家があり、居住用として使用されていた土地であれば、一般的にそのまま居住用とする、または売却することが選択肢となります。場合によっては、住宅ごと貸し付けたり、家を取り壊して土地のみを事業用として活用したりする方法も選択できます。

宅地(事業用として使用されていたもの)

建物を建てて、住宅・事務所・店舗・工業・倉庫等として第三者等と建物の賃貸借契約を結んでおり、借主に賃借権があるため、一般的にはそのまま貸し付けることになります。売却を検討する場合は、そのまま借主が建物を借りた状態で売却する若しくは、借主と協議のうえ、契約の解除や売却までの段取りを決めることが必要な場合があります。

宅地(事業に活用されている土地)

事業用の土地として賃貸借契約が結ばれている可能性が高く、借主に賃借権があるため、一般的にはそのまま貸し付けることになります。売却を検討する場合は、借主と協議のうえ、契約の解除や売却までの段取りを決めることが必要な場合があります。

活用されていない土地(遊休不動産)

建物を建てて居住用や事業用として活用する、または土地をそのまま事業用として貸し付ける方法があります。遊休不動産は、特に契約の対象となっていないため、活用方法は自由です。

農地(生産緑地等)

農地を、農地や農地以外の利用目的として活用したり売却したりする際は、農業委員会の許可が必要となるため、所定の手続きを踏まなければなりません。特に生産緑地は、手続きが煩雑で時間がかかるうえに不備が起こりやすいため、注意が必要です。

相続した土地を売却した方が良い場合


固定資産税は、土地を所有しているだけで発生する税金です。土地を活用する場合は、得た収益によって固定資産税を納めるという考え方ができますが、土地活用を行っていない場合は収益がないため、土地の維持管理費用と固定資産税による費用が発生します。

また、不動産は遺産分割が難しいことも、売却した方が良い理由の1つです。共有名義にしてしまうと、売却や建築する際に共有者全員の同意が必要になる場合もあるため、後々トラブルになりやすい傾向があります。相続した土地は売却して現金化し、相続人で遺産分割する方が良いケースもあります。

相続した土地を売却する方法

相続した土地を売却する場合、もともと自身が所有している土地を売却する方法と流れが異なる点に注意が必要です。遺言書がない場合、遺産分割協議で土地を相続する人物を決め、その相続人全員の同意を得なければ売却できません。遺産分割協議後に必要な相続登記の方法や土地を売却する流れとあわせて解説します。

遺産分割協議をする

遺産分割協議とは、複数の相続人がいる場合に、相続財産の分割方法やその割合などについて話し合うことです。土地を複数人が相続する場合、土地を現金化して分割するほか、共有名義にしたり土地を切り分けてそれぞれが所有権を得たりする方法があります。いずれにしても、土地の相続方法については、相続人全員の同意が必要です。

また、相続人を確定するために、被相続人が生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍謄本などをそろえる必要があります。戸籍謄本は遺産分割協議が成立し、土地をはじめとした不動産や預金口座などの名義変更の際に提出が求められます。
 
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相続登記をする

相続登記とは、相続した土地の所有権を相続人に変更する手続きのことです。土地を売却し、現金化して分割する場合も、まずは相続人に名義を変更する必要があります。相続登記は、土地の所在地を管轄する法務局で行います。

法務省の公式ページから「所有権移転の登記申請書」をダウンロード・印刷し、必要事項を漏れなく記入します。そのうえで、下記の書類と一緒に法務局へ提出する流れです。必要書類は以下のとおりです。

・遺産分割協議書
・印鑑証明書
・被相続人が死亡していることを証明する戸籍(除籍)謄本
・被相続人の出生までさかのぼれる除籍
・改製原戸籍謄本
・相続人全員の戸籍謄本(抄本)
・被相続人の住民票(除票)の写し
・固定資産評価証明書
・相続関係説明図

土地を売却する

相続した土地の売却は、自身が所有している土地を売却する流れと同じです。ただし、共有不動産であれば、土地の売却額について相続人全員から同意を得られない場合は売却できない点に注意が必要です。売却が遅くなることで固定資産税や維持コストがかかるため、「○月までに○円で買い手が現れない場合は、○円で売却する」などの条件を定めておくことが重要です。

土地を売却する流れは以下のとおりです。

1.土地の調査・価格査定
土地を売却する場合、適正価格を知ることは重要です。そのため、不動産会社に土地の調査を依頼し、調査結果から売却価格を検討しましょう。

2.媒介契約(不動産会社に仲介を依頼する契約)の締結
不動産会社に土地の売却を依頼する際に、媒介契約の締結が必要です。媒介契約には、一般媒介契約・専任媒介契約・専属専任媒介契約の3種類があります。スムーズに土地を売却できるよう、媒介契約の特徴を踏まえて締結することをおすすめします。

3.土地の購入希望者との条件交渉
購入希望者から買付申込書が提示された場合は、売却価格や支払いの方法、契約条件などについて交渉を行います。土地の適正価格を見極めながら、慎重に検討していきましょう。

4.売買契約の締結
売買契約は、土地の売り手と買い手が直接行います。不動産会社と契約内容を確認したうえで、売買契約書に署名と捺印を行い、買い手から手付金を受け取ることで締結が完了します。

5.代金の受け取り・引き渡し
手付金を除いた代金の受領と同時に土地を引き渡します。

相続した土地を売却する際に注意すべきこと


相続した土地を売却する際は、税金の納付や確定申告など行うべきことがいくつもあります。事前に手続きや注意点を確認することで、安心して土地を売却することができます。また、優遇措置を利用できるかどうか、契約不適合責任を問われるリスクはないかといったことも押さえておくことで、より適切な判断ができるでしょう。

各種税金の納付が必要になる

土地を売却した際は、5種類の税金が発生します。実際に手元に残る資産を確定するために、それぞれの税金を計算しておくことをおすすめします。

税金の種類

内容

税額

登録免許税

相続登記の名義変更に必要

不動産価額の0.4%

印紙税

売買契約書に貼る印紙代

2,000~100,000円(売却額で異なる)

譲渡所得税

土地の売却で得た利益にかかる税金

土地の所有期間5年以下:譲渡所得の30%
土地の所有期間5年以上:譲渡所得の15%

住民税

土地の売却で得た利益にかかる税金

土地の所有期間5年以下:譲渡所得の9%
土地の所有期間5年以上:譲渡所得の5%

復興特別所得税

令和19年まで納税が必要な税金

土地の所有期間5年以下:譲渡所得の0.63%
土地の所有期間5年以上:譲渡所得の0.315%

※いずれも令和4年4月1日時点の情報に基づく確定申告を行う必要がある

土地を相続するだけであれば、基本的に確定申告は不要です。しかし、相続税の確定申告が必要な場合があります。例えば、収入が生じる遺産を相続した、相続した遺産を寄附した、相続した遺産を換価分割した、未支給年金・死亡保険金を受け取った、などです。

土地に関しては、相続した土地を売却した場合、その売却益は所得扱いとなるため、所得税の確定申告が必要になります。その際は売却額ではなく、売却額から土地の売却にかかった費用を差し引いて残る売却利益に対して所得税が課税されます。

優遇措置を確認する

土地を相続後、相続税の申告期限である翌日から3年を経過する日までに売却する場合は、「相続税の取得費加算」と呼ばれる制度を利用できます。この制度により、相続した土地を売却して得た売却利益にかかる譲渡所得税額が軽減されます。

売却利益(譲渡所得)を計算する際は、土地の売却代金と固定資産税精算金等の合計額から取得費と譲渡費用を差し引きますが、これに相続税の一部を上乗せできます。その結果、同制度を利用しない場合と比べて、譲渡所得が低くなるため、それにかかる譲渡所得税の軽減が可能です。

契約不適合責任を問われないように入念に調査する

契約不適合責任とは、引き渡した土地の条件を契約の内容に適合させる責任を追うことです。従来は瑕疵担保責任として、引き渡した土地に隠れた瑕疵(欠陥)があった場合、売主が責任を負うとされていましたが、民法の改正により表現と責任の捉え方が変化しました。

土地の場合、地中にコンクリートの塊や建築廃材などが埋まっているケースがあります。また、土地の地盤が弱かったり土壌が汚染されていたりすることもよくあるトラブルです。このようなトラブルを防ぐためにも、入念な事前調査で土地に問題がないことを確認したうえで売却する必要があります。

相続した土地の売却に関する相談先

相続した土地を売却する際は、税額や売却の必要性、メリット、注意点など、さまざまな情報を確認する必要があります。そのうえで本当に売却すべきかどうかを考えるにあたり、専門家のサポートを受けることも1つの方法です。相続した土地を売却する際の相談先について解説します。

資産や財産のコンサルティング会社

資産や財産のコンサルティング会社は、幅広い専門知識を持っているため、頼りになる存在です。相続や土地の売買、税など、会社によって得意とする分野が異なるため、事前にWebサイトなどでサービス内容を確認し、信頼できる会社を選択しましょう。

不動産会社

不動産会社は、建物付きの土地のみだけでなく、土地だけの売却も仲介しています。土地の価値を周辺の相場や面積などから算出し、広く広告することで効率的に買主を見つけることができます。

不動産鑑定士

不動産鑑定士は、土地の価格を算定する専門家です。土地の価値を調べる際は、固定資産税評価額、公示地価、基準地価値、相続税路線価などから実勢価格を調べますが、あくまでも参考程度となります。不動産鑑定士は、その土地特有の条件や周辺相場など、さまざまな情報を加味し、土地の価値を算定することが可能です。

税理士

土地を売却することで、譲渡所得税や住民税など、さまざまな税金が発生します。税理士は、これらの税金の計算や制度の利用、確定申告の代行などを行うことが可能です。事前にどの程度の税金が発生するのかを知りたい、確定申告の代行を任せたい場合に相談しましょう。

司法書士

司法書士は、土地の所有権移転登記や遺産分割協議書の作成などを代行できる専門家です。土地を売却するまでの準備段階において、司法書士のサポートを受けることで、速やかに土地の価値算定や買主探しに移行できます。

IFA

IFAは独立系フィナンシャル・アドバイザーのことです。土地の売却と運用のどちらを選択すべきか、土地を運用する方法や利益の予想などを踏まえたアドバイスができます。土地の売却以外の選択肢も探している場合に相談しましょう。


 

まとめ

土地の収益性が低く固定資産税を払い続けることになる場合や、遺産分割で争いとなる可能性が高い場合には、将来起こり得るトラブルのリスクを抑えるために、相続した土地を売却することも選択肢の1つです。相続した土地は、3年以内に売却することで譲渡所得税を軽減できます。土地の売却をスムーズに進めるためにも、コンサルティング会社や不動産会社、司法書士など、さまざまな専門家に相談することが重要です。

相続した土地の取り扱いにお悩みの際は、ぜひ青山財産ネットワークスまでご相談ください。

青山財産ネットワークスの特徴

青山財産ネットワークスグループでは、税理士、会計士、司法書士、不動産鑑定士など、国家資格を有する専門家が150名以上在籍し、30年以上の豊富な実績に基づき、お客様やご一族にとって最適な財産構成を実現する総合財産コンサルティングを提供しています。
 
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・相続した土地の活用方法を検討している
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