2023.02.09
財産承継
不動産相続でよくあるトラブルと解決法を解説


不動産の相続は大きなお金が動くこともあり、トラブルに発展しやすいと言われています。これまでは問題のなかった親族との関係が、相続が原因で変わらないよう、トラブルの原因を事前に知っておくと安心できます。
この記事では、これから不動産相続が想定される方や、すでに相続でトラブルになることが見込まれている方などに向けて、不動産相続でよくあるトラブルと対策方法、不動産相続について相談すべき専門家についてなど解説していきます。
また、不動産の売買や財産承継、事業承継、M&A、資産運用などの相談をお考えの方は、ぜひ当社へのご相談をご検討ください。
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不動産相続でよくあるトラブル


相続トラブルの中でもよくあり、問題が大きくなりやすいのが不動産に関するトラブルです。ここでは、よくある不動産相続トラブルを7つ解説します。

1.遺言書がない

遺言書がないために相続割合をめぐって相続人の間で揉めてしまうというケースです。遺言書がある場合、遺言書の内容をもとに相続財産を分配します。しかし、遺言書がない場合、相続財産は相続人全員による遺産分割協議で決めなければなりません。相続する当人同士での話し合いとなるため、内容や割合がスムーズに決まらずトラブルに発展することがあります。

2.共有持分として相続してしまう

不動産を共有持分として相続した場合、売却するには所有者全員の合意が必要になります。また、賃貸など貸し出すにも持分比率の過半数にあたる所有者が同意しなければならず、不動産の活用が難しくなります。自分の持分だけ売却することは可能ですが、共有持分の一部を買いたいという一般の方はほとんどいません。中には共有持分の買い取りを積極的に行っている不動産会社もありますが、こうした不動産会社に売却することで、買値が安い、共有物分割請求をされるなどのトラブルに発展しやすい点に注意が必要です。
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3.分割の方法及びその割合で揉める

不動産を分割することで、複数の建物を建てることは可能です。しかし、単純に面積を均等に分けるだけでは、建物を建てることができないなどのトラブルが発生します。
土地の上に建物を建てるためには、道路に2m以上接している必要があります。例えば、もともとの土地が6m接道している場合、3mずつ接道する形で土地を分割することで建物を建てられます。しかし、接道を優先したことで土地がいびつな形になれば、活用の難しさから誰が相続するか決まらずに揉めてしまうでしょう。

4.コストが発生する

相続した不動産に思い入れがあるなどの理由により、活用することなく放置するケースがあります。不動産を活用も売却もせずに放置しても、固定資産税がかかります。また、不動産の整備や管理に手間や費用がかかるため、思わぬ支出が発生してしまうのです。
空き家の場合は、整備や管理に費用がかかるだけでなく、自然災害時に倒壊してケガを負わせるなどのリスクがあります。結果として、損害賠償に発展することもあるため、不動産を放置することにはリスクが伴う点に注意が必要です。

5.名義変更を行っていなかった

相続後の名義変更は義務ではないため、そのまま放置することがあります。しかし、名義変更をせずに放置したままでは売却したりローンを組んで建物を建てたりすることができず、後から手間がかかってしまいます。
また、2024年4月に相続登記の法改正がなされ、相続登記が義務化されます。この法改正により、土地の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記が済んでいない場合、10万円以下の過料が課される可能性があります。

6.相続税支払いの原資について

不動産は、一般の方にとって相続財産の大半を占める資産になることが多いでしょう。不動産を相続することで相続税を支払う必要が出てきます。しかし、相続税は原則として現金で一括で納める必要があるため、相続財産に現金がない場合は、資金の確保が問題となる可能性があります。相続税の納付期限は、相続開始から10ヶ月と決して長くないため、事前の準備が欠かせません。

7.相続した土地が底地であった場合

底地とは、借地権が設定されている土地のことを言います。底地を相続した場合、貸地人(土地を借りている人)から地代などを受け取れるというメリットはありますが、土地をめぐってトラブルに発展するケースもあります。底地に関するトラブルには、収益性が低い、管理に手間暇がかかる、買い手が見つかりにくく相場よりも低い価格設定が求められる、貸し借りに関する人間関係の悪化、土地が返ってこない、借地人の親戚など権利のない第三者が住んでしまう、といったものがあるため、注意が必要です。
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不動産相続のトラブルを回避するには



不動産相続のトラブルを回避するポイントを4つ紹介します。
遺言書の準備、法定相続人の確認、相続登記手続きの実施など、トラブルを回避するために事前に押さえておくべきポイントを確認しましょう。

1.万が一に備え家族内で話し合い、遺言書を準備しておく

遺言書は、故人が相続においてどのような思いで財産を遺したのかを伝え、遺族がその思いを理解するために大切なものです。遺言書は生前に準備しておかなければならないため、相続を見越して家族内でよく話し合って準備しておきましょう。
遺言書を有効なものとするためには、「全文自筆で書く」「日付を入れる」などのルールがあります。また、自筆証書遺言や公正証書遺言など、遺言にもいくつか種類があり、作成には時間がかかるため、余裕を持って話し合うことが大切です。

2.法定相続人を確認しておく

不動産相続に関する手続きは、遺産分割協議や名義変更など、法定相続人の書類手続きが必要となるものがあります。また、単純承認や相続放棄、限定相続などの相続方法を決めるのは、相続開始があったことを知った日から3ヶ月以内、相続税の納税は相続があったことを知った日から10ヶ月以内と定められています。期限内に手続きを完了するためにも、事前に法定相続人を確認することが効果的です。

3.相続登記をすぐに済ませておく

相続登記は、不動産を相続した際に所有者の名義を相続人に変更する手続きです。相続登記の手続きの流れは以下のとおりです。

1.遺言書の有無を確認
遺言書がある場合は、遺言書の内容にそって相続を進めます。相続する内容を確認したうえで、相続の手続きを行いましょう。

2.遺言書がなければ法定相続または遺産分割協議の実施
遺言書がない場合は、法律で定められている持分のとおりに相続を行う、または遺産分割協議により相続人の中で誰が不動産を相続するか決めることになります。

3.相続登記に必要な書類を法務局に提出
相続の方法が確定した後は、必要な書類を用意し、法務局で手続きをすれば相続登記は完了です。
相続登記は自分ですることもできますが、必要書類の準備や手続きなどに手間や時間がかかり、専門的な知識が必要となってきます。そのため、一般的には司法書士に相続登記を依頼します。司法書士に依頼すれば、依頼料等費用がかかりますが、書類の準備から手続きまで手間なく進めることが可能です。

4.効果的な不動産の分割方法を選択する

不動産を複数人で分割する場合、分割方法は複数あります。適切な分割方法を選択することでトラブルを避け、スムーズに相続ができるようになります。
不動産の分割方法は、現物分割、換価分割、代償分割、共有分割の4つがあります。それぞれの特徴を解説します。

・現物分割
不動産を分割せず、不動産のまま相続する方法です。一人は不動産、一人は現金といった形で、特定の財産を特定の相続人が相続します。

・換価分割
不動産を売却し、現金化した後に相続人に分配する方法です。等分しやすい形にすることで、相続の割合で揉めるリスクを軽減することができます。

・代償分割
一人が不動産を相続し、他の相続人に対して見合った金銭を支払うという方法です。換価分割と同様、公平性を保ちやすく将来的にも問題が発生しにくいと言えます。

・共有分割
1つの不動産を、複数人で共有名義にする方法です。不動産を公平に分けることは可能な反面、共有持分の売却や活用が難しいというデメリットがあります。将来的にトラブルに発展するリスクがある点は注意が必要です。

不動産相続の相談先


不動産の相続は、大きなトラブルに発展する可能性があるため、慎重に進めることが重要です。また、相続人同士での交渉は、決着までに時間がかかったり、人間関係が悪化したりするリスクがあります。そのため、不動産相続に関する専門家に相談することをおすすめします。専門家に相談しながら進めることで、スムーズに相続ができるでしょう。

相続に強い財産コンサルティング会社

相続に関して何らかの問題がある場合に利用することが多いのが、コンサルティング会社です。さまざまなケースに対応し、解決してきた実績から、相談先として頼りになります。不動産会社では解決できない問題が発生したりした場合に相談することをおすすめします。

税理士法人・税理士

税の専門家である税理士法人や税理士には、相続税の申告を中心に、相続税の不動産売却の取得費加算や相続時精算課税制度の利用などの相談ができます。また、不動産相続において発生する土地の相続税や生前贈与なども対応しているため、相続の前後で税に関する相談をする場合、頼りになるでしょう。

不動産会社

不動産全般について相談できるのが不動産会社です。専門的な部分は弁護士や司法書士などに依頼することになりますが、不動産を売却したり、建物を建てたりする際は総合的な相談が可能です。ただし、不動産の売買を行わない場合は収益を得ることができないため、不動産の売買が前提の対応になる可能性がある点には注意が必要です。

弁護士や司法書士等の専門家

相続の手続きに関して、法の専門家として法律的に問題がないように手続きを進めてもらうことができます。万が一相続トラブルに発展した際も、弁護士に対応してもらうことが可能です。ただし、相続の手続き以外については対応が難しい場合が多く、不動産の売却など付随する取引については財産コンサルティング会社や不動産会社に相談する必要があるのが一般的です。

まとめ

不動産の相続では、さまざまなトラブルが起こってしまう可能性があります。一方で、事前に対策することで、トラブルを回避することは十分にできます。不動産だけでなく、財産全体を見渡して、状況が複雑であるほど不動産を相続する際に相談できる相手も把握しておくとスムーズに対応できます。
不動産の相続にお悩みの際は、ぜひ青山財産ネットワークスまでご相談ください。

青山財産ネットワークスの特徴

青山財産ネットワークスグループでは、税理士、会計士、司法書士、不動産鑑定士など、国家資格を有する専門家が150名以上在籍し、30年以上の豊富な実績に基づき、お客様やご一族にとって最適な財産構成を実現する総合財産コンサルティングを提供しています。
お客様の目標達成に向け、市場や物件の状況を総合的に判断し、お客様にとって最大の価値を見出せるよう一気通貫でご支援する体制が整っており、お客様のさまざまなニーズにお応えすることが可能です。

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