2023.07.27
財産運用
駐車場経営の収入と必要経費とは。失敗を防ぐための基礎知識を解説。
土地活用の効果的な手段の1つが駐車場経営です。一口に駐車場経営と言っても、運営・管理におけるオーナー自身の裁量の範囲により収益は変動します。賃料収入を全額受け取る方法もあれば、稼働率に関わらず固定の金額が手に入る方法もあるため、自分に合った方法を慎重に吟味することが重要です。
この記事では、駐車場経営に興味がある方に向けて駐車場経営における収入の仕組みを解説します。賃料収入と、初期費用やランニングコストの目安、駐車場を経営するにあたって課税される税金などを紹介しますので、参考にしてください。

また、土地活用や財産承継、事業承継、不動産の売買などの相談をお考えの方は、ぜひ当社へのご相談をご検討ください。

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駐車場経営の仕組み

 
駐車場経営には、利用者の募集や賃料の回収、敷地のメンテナンスなどの運営管理業務が発生します。
駐車場をオープンするために、必要に応じて土地の購入や設備の施工も必要です。これらにオーナー自身がどの程度関わるかによって、経営の仕組みは以下の3つに分類できます。

自営方式

施工から利用者の募集、料金の回収までオーナー自身が行う方法です。

外部への委託費用を最小限に抑えることで収益を最大限手に入れることが可能ですが、初期投資のコストや管理運営の手間はオーナー自身が負担します。
また、経営の意思決定をすべて自分で行える自由度の高さがあるからこそ、高い収益性を実現するには駐車場経営に関するノウハウが必要です。

運営委託方式

土地や設備は自ら用意し、駐車場オープン後の運営は業者に委託する方法です。
運営に専門家のノウハウを取り入れられる上、管理の手間を最小限に抑えることができます。

その分、初期投資に加えてランニングコストとして運営委託費用が掛かるなど、一定の費用負担が求められるため注意が必要です。

一括借り上げ方式

土地の貸与のみ行い、設備投資から管理・運営まですべて業者に委託する方法です。
プロのノウハウで稼働率の高い駐車場を設計してもらえる上、管理の手間も掛かりません。

契約状況にかかわらず毎月固定の賃料が支払われるため、安定した収入が得られる一方で、高利を期待しづらいことがデメリットといえます。

駐車場経営の収入

  
駐車場には時間貸しのコインパーキングと、1ヶ月単位で契約する月極駐車場の2種類があり、どちらを選ぶかによって収入は変動します。

ここでは、それぞれの特徴と期待できる賃料収入の目安を紹介します。

コインパーキング

駐車スペースを時間貸しする方法で、一般的な稼働率は20〜70%と幅が大きいのが特徴です。
昼夜人口比率に差があるエリアに多い傾向にあり、駅前やオフィス街、商業施設の周辺などに集中しています。

コインパーキングの平均賃料は、総務省統計局が2021年に行った調査 によると以下の通りです。

  • 全国 平均286円/時間
  • 東京23区 平均683円/時間

一般的な稼働率と平均賃料をもとに考えると、駐車スペース1つあたり以下のような賃料を見込めます。

  • 全国 42,284〜144,144円/月
  • 東京23区 98,352〜344,232円/月

月極駐車場

アパートのように賃貸契約を結び、利用者から1ヶ月あたりの賃料を徴収する方法です。
月極駐車場の1ヶ月あたりの平均賃料は、2021年の総務省統計局の調査によると以下の通りです。

  • 全国平均 10,420円/月
  • 東京23区 26,494円/月
コインパーキングに比べると、駐車スペース1つあたりの収入は低い傾向にあります。
しかし、利用者が月極契約を解約しないかぎり継続して収入を得ることができますし、立地や価格によっては満車の状態が数年つづくことも珍しくありません。
利回りは低いものの、長期的に収入が安定しやすいことが魅力です。

駐車場経営のコスト

駐車場のオープンまでに掛かる初期費用と、オープン後に継続して掛かるランニングコストは、経営形式によって変動します。

初期費用

初期費用の多くを占めるのは工事費用で、コインパーキングと月極駐車場では必要な工事が異なります。主な要素の相場を以下にまとめました。

コインパーキング
 アスファルト舗装  75,000円前後/台
 ライン引き  60,000円〜80,000円(1〜10台の場合)
 車止め(ロック板)設置
 10万円前後/台
 精算機設置
 40~50万円
 看板・照明
 15~20万円


月極駐車場

 アスファルト舗装  75,000円前後/台
 ライン引き  60,000円〜80,000円(1〜10台の場合)
 車止め設置
 21,000円前後/台

コインパーキングの場合はロック板の車止めや、精算機、看板などが必要になるため、月極駐車場よりも初期費用が高額になります。

ランニングコスト

ランニングコストの負担範囲は、経営方式によって変わります。

自営方式の場合は電気料金、保険料、防犯カメラのリース費用、メンテナンス費用などが必要です。
運営委託方式の場合は、一般的に賃料の5~10%程度を委託費用として業者に支払います。
一括借り上げ方式の場合は、基本的にあらかじめランニングコストを加味した金額が収益として支払われるため、オーナーへ支出が求められないケースがほとんどです。

駐車場経営の税金

所持している土地や駐車場経営で得た収入には4種類の税金が課されます。それぞれの課税条件や税率を解説します。

固定資産税

原則として、固定資産税評価額の1.4%が課税されます。すでに土地を所有している場合は、過去の納税通知書から税額を確認 することが可能です。

駐車場の固定資産税では、アパートやマンション経営において適用される特例措置が適用されないため 、注意してください。

都市計画税

固定資産税と同様に年1回課税されますが、駐車場用地が位置している市町村によっては課税されない場合もあります。

納税額は自治体ごとに、固定資産税評価額に応じて決められていて、税率は最大0.3%です。  

所得税

賃料収入からランニングコストや固定資産税などの必要経費を除いた金額に対して掛かる税金です。

自営方式は雑所得又は事業所得、一括貸し方式は不動産所得として計上し、他の所得との合計額によって税率が決定します。
税率は、課税対象となる年間所得金額によって異なります。194.9万円までの場合は税率5%、329.9万円までの場合は税率10%です。所得金額に応じて最大45%まで変動します。

消費税

基準期間(個人であれば1月1日~12月31日、法人であれば事業年度)における賃料収入が1,000万円を超えた場合は、基本的に10%を確定申告時に消費税として納税します。
しかし、運営方式によっては課税対象にならないケースもあります。

課税対象か見分けるポイントは、工事の発注者です。舗装や設備設置工事などの一部または全部を自分で発注した場合は課税対象になる可能性が高く、すべて業者が行なった場合は非課税になるケースが一般的です。

駐車場経営の失敗を防ぐ3つのコツ


駐車場経営で高収益を実現するためには、入念に情報収集を行った上で経営方式や賃料を決めることが重要です。ここでは、駐車場の稼働率を高めるコツを3つ紹介します。

周辺相場を調べる

高い賃料収入を目指して相場以上の価格設定を行うと、稼働率が低迷する可能性が高まります。周辺の賃料相場を入念に調査し、妥当な価格設定を行うことが重要です。

経営方式を慎重に選ぶ

駐車場の経営方式は、利回りの高さで考えると自営方式が優れています。一方で、管理・運営の手間を考慮すると、運営委託方式と一括借り上げ方式が優れているといえるでしょう。
それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、自分に合った方式を判断することが重要です。

コンサルティング会社を頼る

コンサルタントのノウハウを導入することで、どの経営方式でも駐車場経営を効果的に行うことができます。

たとえば一括借り上げ方式の場合、コンサルタントがコンペ形式で運営事業者を選定することが可能です。賃料以外にも様々な条件を比較した上で、運営事業者を決定できるでしょう。
また、駐車場経営が始まった後も継続的な市場調査を代行し、調査結果をもとにした戦略的な賃料設計を提供してもらえます。
賃料を変更する際は、運営事業者との交渉窓口をコンサルタントに任せることも可能です。

まとめ

駐車場経営の方法は業者に委託する範囲によって3種類に分かれており、収入の仕組みも必要経費もそれぞれ異なります。どれほどの収入を期待できるのか調べるためには専門知識に基づいた試算が必要です。

豊富な知識やノウハウを持ったコンサルタントが多く在籍する青山財産ネットワークスでは、駐車場経営を含めた土地活用に関する相談を受け付けています。

青山財産ネットワークスの特徴

青山財産ネットワークスでは、税理士、司法書士、不動産鑑定士などの国家資格を有する専門家が150名以上在籍し、30年以上の豊富な経験に基づき、お客様やご一族にとって最適な財産構成を実現する総合財産コンサルティングを提供しています。その一環として、土地有効活用コンサルティングを数多く提供してきた実績があります。

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また、多くのテナント企業の出店ニーズをデータベース化し、これを生かして組織的に対応することができる青山財産ネットワークスのもう一つの強みは、非常に高いリーシング力です。空店舗が埋まらずお困りの方も、ぜひ青山財産ネットワークスまでご相談ください。


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監修者

       青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP、シニア・プライベートバンカー、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
  青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
-1級ファイナンシャル・プランニング技能士
-CFP
-シニア・プライベートバンカー
-公認不動産コンサルティングマスター
-宅地建物取引士
・経歴
不動産や信託の活用を軸とした永続型の財産承継コンサルティングを現場の最前線で行っている。節税目的の相続対策に警鐘を鳴らし、「財産全体が最適」となる承継・管理・運用を土台とするファミリーコンサルティングを幅広く手掛ける。ナレッジを集約した書籍を発行。セミナー登壇実績多数。YouTubeにて動画コンテンツも配信中。

・著書
青山財産ネットワークスの30年に渡るノウハウをまとめた『「5つの視点」で資産と想いを遺す~人生100年時代の相続対策』を執筆。2021年(11月15日-11月21日)紀伊国屋書店新宿本店 ビジネス書ランキング 第1位

※役職名、内容等は2023年10月時点のものです。


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