2024.01.17
財産承継
不動産の相続税はいくらかかる?相続税の算出方法や注意点を紹介
親や祖父母、兄弟など家族が亡くなると、遺産の相続が発生します。遺産の中に住宅や駐車場などの不動産が多く含まれている場合、遺産の総額が大きくなり、状況によっては相続税を支払うことになるかもしれません。
そのため将来的に不動産を相続する可能性がある人にとっては、不動産と相続税の関係や金額の算出方法は理解しておくべき事柄だと言えるでしょう。

そこでこちらの記事では、不動産を相続する際にかかる税金の種類や、相続税の金額の算出方法、不動産の相続税の特例と税額控除、不動産を相続する際の注意点などについて解説します。

不動産を相続するとかかる税金とは?


土地や住宅などの不動産を相続し、評価額が一定の金額以上の場合、「相続税」と「登録免許税」という2つの税金を支払うことになります。では、相続税と登録免許税とはどのような税金なのでしょうか。

まずは、それぞれの税の概要について確認していきましょう。

相続税

被相続人(亡くなった人)が遺した財産を、配偶者や子どもなどの相続人が引き継ぐことで生じるのが「相続税」です。
相続の際に必ず発生するわけではなく、財産の相続税評価額の合計から基礎控除額を差し引いた額がプラスになった場合に、相続税の申告・納付の義務が生じます。

相続税の申告や納税には期限があり、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月以内に終える必要があります。
この期限を守らない場合には無申告加算税や延滞税、重加算税などのペナルティーが課せられてしまうため、財産を相続することになったら関係者と共に迅速に手続きを進めることが重要です。

登録免許税

相続により不動産の所有権を取得すると、不動産の名義を被相続人から相続人に変更する必要がありますが、これを「相続登記」と言います。
法律の改正によって2024年4月から相続後3年以内の登記が義務化され、相続トラブルや病気などの正当な理由がないにもかかわらず申請しなかった場合には、10万円以下の過料が課せられるため注意が必要です。

そして、この相続登記を行う場合は「登録免許税」という税金が発生し、登録免許税の金額は【相続登記をする不動産の固定資産税評価額×0.4%】という計算式で算出されます。
尚、不動産取得税は発生しません。

相続税には基礎控除がある

相続税は全ての相続のケースにかかるわけではなく、相続した財産の相続税評価額の合計から基礎控除額を差し引いた額がプラスになった人に申告・納付の義務が生じる仕組みです。相続税の基礎控除額は、以下の計算式によって求められます。

【3,000万円+600万円×法定相続人の数】

たとえば相続財産の合計が5,000万円で、既に配偶者が亡くなり一次相続していた親について二次相続が発生し、4人の子どもが相続人となった場合、基礎控除額は「3,000万円+600万円×4」の5,400万円となります。
このケースでは基礎控除額が相続財産の合計を超えるため、相続税は発生しません。

一方で、相続人が子ども1人のみの場合は、基礎控除額は「3,000万円+600万円×1=3,600万円」。
相続財産が基礎控除額を超えるため、「(5,000万円-3600万円)×相続税率」の相続税を支払うことになります。

不動産の相続税の算出方法

不動産を相続するケースでは、「それぞれの土地や建物にどれだけ相続税がかかるのか」というイメージがあるかもしれません。しかし実際は、相続税は全ての財産を合わせて計算されるものであり、不動産はあくまで相続財産の一つという考えです。

その点を念頭に置いて、不動産にかかる相続税の算出方法について確認していきましょう。

遺産の総額を算出

相続税はあらゆる財産を合計した額にかかる税金であり、預貯金や不動産など遺産を構成する個別資産ごとに課税されるわけではありません。そのため、相続税の金額を算出するプロセスは、まずは相続財産の総額を割り出すことから始まります。

現金や預貯金、株式などの有価証券、不動産など相続財産の合計から、被相続人の借入金などマイナスの財産、さらに葬儀費用などを差し引いた金額が、相続税の課税価格です。

そして、その課税価格から基礎控除「3,000万円+600万円×法定相続人の数」を差し引いた金額が、相続税の課税遺産の総額となります。

土地の評価額を算出

遺産の総額を出すためには、不動産の評価額を計算する必要があります。不動産は土地と建物に分けられ、それぞれで評価額を算出することになります。
土地の評価額は、市街地の土地や道路に路線価が定められている場合は路線価から算出し、路線価がない土地では倍率方式が用いられます。

◎路線価方式
路線価とは、標準的な宅地の「道路に面する土地1㎡あたりの評価額」を意味します。各地の路線価は、国税庁のホームページで確認することが可能です。
路線価方式では、路線価をもとに特殊な宅地に対して補正を実施し、土地の評価額を算出します。なお、路線価方式での評価額を算出する場合には、以下の式が用いられます。
【土地の評価額=路線価×補正率×土地の面積】
 
◎倍率方式
路線価が定められていない土地の場合には、国税庁の「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」よる倍率表で相続税評価額を用いて計算することになります。
倍率方式の計算方法は以下の通りです。
【土地の評価額=固定資産税評価額×倍率】

※固定資産税は、地方税法に基づき3年ごとに評価額が見直されます。

関連記事:土地を相続したら相続税はかかる?計算方法や使える控除・特例を紹介

建物の評価額を算出

建物の評価額は、固定資産税の評価額が適用されます。固定資産税の評価額は、毎年、各市町村から送付される「固定資産税課税明細」に記載されており、それを通じて確認することが可能です。
なお、戸建てでもマンションでも評価額の算出方法は同じです。

関連記事:マンションを相続する際に必要な手続きや発生する費用について解説

不動産の相続税の特例と税額控除

不動産が遺産に含まれていると、相続財産の総額が大きくなる可能性が高まります。相続税の基礎控除額を超えてしまうと相続税を支払うことになり、場合によっては相続人に大きな負担がかかることもあります。

そうした状況を想定し、不動産の相続税に関しては様々な特例や控除が定められています。

小規模宅地等の特例

都市部は地価が高く、それほど広くない土地でも評価額が億単位になるケースも珍しくありません。その場合は相続税が高額になり、納税するために自宅を手放さなければならない可能性も生じます。そこで設けられているのが、「小規模宅地等の特例」です。

小規模宅地等の特例は、一定要件を満たす土地であれば、所定の面積まで評価額を減額できる制度です。たとえば実際に住んでいた土地については、330㎡までは80%減額されます。
1億円の土地であれば、2,000万円まで評価額を引き下げることができます。

なお、小規模宅地の特例を使える土地は以下の3種類です。

・実際に住んでいた土地(特定居住用宅地等)
・事業を行っていた土地(特定事業用宅地等/特定同族会社事業用宅地等)
・貸していた土地(貸付事業用宅地等)

配偶者控除

被相続人の配偶者が遺産を相続する場合、基礎控除に加えて配偶者控除も適用されます。具体的には、「1億6,000万円」もしくは「配偶者の法定相続分相当額」のいずれか大きい方が控除額です。

たとえば、相続人が1人の場合、不動産を含めた相続財産全体の評価額が1億5,000万円であれば、基礎控除額は3,600万円ですので通常は相続税が発生します。
しかし、相続人が配偶者であれば1億6,000万円の配偶者控除が適用されるため、相続税は課税されません。

なお、配偶者控除が適用されるためには、「法律上の配偶者」「遺産分割が確定している」「相続税の申告書を提出する」の3つの要件を満たす必要があります。

未成年者控除

相続人が未成年者の場合、相続税の額から一定の金額が控除されます。控除される金額は「満18歳になるまでの年数×10万円」で、以下の3つの要件を満たすことで適用されます。

・日本国内に住所があること
・18歳未満であること
・法定相続人であること

たとえば、相続人が15歳9ヶ月で遺産を相続した場合、9ヶ月を切り捨てて15歳として計算します。この場合、18歳までの年数は3年で、計算式は【10万円×3年】。
結果、控除額は30万円となります。

贈与税額控除

贈与税額控除とは、被相続人が亡くなる前の一定期間内の贈与に対して贈与税を支払っている場合、その分を相続税から差し引くことができる制度です。この控除には、遺産の贈与時に贈与税を納付した財産に対し、相続税が重複してかからないようにするという目的があります。

贈与税額控除は、令和5年までに贈与される財産については、相続開始の3年以内に行われた贈与が相続税の対象です。

ただし、法改正によって令和6年から対象期間が徐々に長くなり、最終的には相続開始の7年以内に実施された贈与へと変更されます。

障害者控除

相続人が85歳未満の障害者の場合、相続税額から一定金額を控除できる「障害者控除」を利用することが可能です。

控除額は【満85歳になるまでの年数×10万円】(特別障害者は1年につき20万円)で、この控除を利用するには以下の要件を満たすことが求められます。

・相続財産の取得時に日本国内に住所があること
・相続した時点で障害者であること
・法定相続人であること

不動産を相続するときの注意点

不動産を含めた遺産相続は相続税の金額が大きくなる可能性がありますが、注意すべき点はそれだけではありません。

こちらでは、不動産を相続する際に念頭に置いておいたほうがいいポイントについて解説していきます。

不動産を所有すると各種税金が発生する

不動産を所有すると、固定資産税が課税されます。固定資産税は土地や建物、事業用資産などに課される税金で、金額は固定資産の評価額の1.4%前後です。所在地によっては、固定資産税に加えて都市計画税も課税されます。

これらの税金は、不動産を所有している間は毎年支払わなければなりません。不動産を相続するのであれば、相続税以外の税金の負担があることも、あらかじめ理解しておく必要があります。

売却しても税金がかかる

相続した不動産を売却し、利益が出た場合には譲渡所得税が課税されます。譲渡所得は、「売却金額」から「購入にかかった費用と売却にかかった費用」を差し引いた額で、それに税率をかけて譲渡所得税は算出されます。譲渡所得税の税率は土地の所有期間によって変動し、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下(短期譲渡所得)であれば39.63%、所有期間が5年を超えていれば(長期譲渡所得)20.315%です。

関連記事:相続した土地を売却する際にかかる税金について解説

相続人間での話し合いがまとまらない可能性がある

遺言書がなく、相続人が複数いる場合は、土地を含めた財産の分割についての話し合いを実施します。この話し合いを、遺産分割協議と言います。

話し合いがスムーズに進めば遺産相続の手続きも順調に進みますが、相続人同士の要求や意見が対立し、協議がまとまらないケースも少なくありません。

相続後の活用方法も考える

不動産はたとえ相続した後に放置していたとしても、固定資産税や都市計画税などのランニングコストが発生します。そのため、不動産の相続に直面した場合には、有効な活用方法も考えることが重要です。

自分で住む(または建て替え)、売却する、収益化など様々な選択肢がありますので、費用や利回り、立地条件などをふまえて慎重に判断することが重要です。

関連記事:所有している土地を有効に活用するには?土地の有効活用策をご紹介

まとめ

遺産相続の中でも、不動産は個別性が高く、扱いが非常に難しい分野です。土地や建物が持つ価値の評価方法が複雑であり、場合によっては多額の相続税を払わなければなりません。

1人の力で解決するのは限界もありますので、将来的に不動産を相続する場面に直面する可能性があるのなら、相続対策の専門家にアドバイスを求めるなど、早めに対策を検討しておくと安心です。

プロの力を借りて、スムーズな解決を目指しましょう。

青山財産ネットワークスの特徴

青山財産ネットワークスでは、税理士、司法書士など、国家資格を有する専門家が150名以上在籍し、30年以上の豊富な実績に基づき、お客様のご希望に沿って遺産相続や資産運用、管理に関するさまざまなご提案をしております。お客様とその親族の方々にとって最良の結果になるようプランをご提案いたします。


\相続にまつわる相談・解決事例はこちら/

監修者

       青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、シニア・プライベートバンカー、公認不動産コンサルティングマスター、宅地建物取引士
  青山財産ネットワークス
財産コンサルタント 相澤 光
-1級ファイナンシャル・プランニング技能士
-シニア・プライベートバンカー
-公認不動産コンサルティングマスター
-宅地建物取引士
・経歴
不動産や信託の活用を軸とした永続型の財産承継コンサルティングを現場の最前線で行っている。節税目的の相続対策に警鐘を鳴らし、「財産全体が最適」となる承継・管理・運用を土台とするファミリーコンサルティングを幅広く手掛ける。ナレッジを集約した書籍を発行。セミナー登壇実績多数。YouTubeにて動画コンテンツも配信中。

・著書
青山財産ネットワークスの30年に渡るノウハウをまとめた『「5つの視点」で資産と想いを遺す~人生100年時代の相続対策』を執筆。2021年(11月15日-11月21日)紀伊国屋書店新宿本店 ビジネス書ランキング 第1位

※役職名、内容等は2023年10月時点のものです。

おすすめ記事はこちら